連載 コラム『むつみ豚と雨女』 第9回

幽霊、オカルト、超常現象。
あなたは信じますか?
ワタクシはこの手の話を否定も肯定もしない。
と、言うのも不可思議な現象に遭遇した事は何度かあるからである。
五歳の頃、座敷わらしを見た。これはワタクシの記憶が曖昧なので割愛します。
うら若き乙女であった17歳の頃、高校の正門まで続く直線の歩道。ワタクシの数十メートル前方を級友二人と知らない女子生徒が一人、三人肩を並べて歩いている。教室に着いた後、『一緒に歩いとったのだれ?』と聞いてみたら『え?二人で歩いとったよ。』凍りつく背筋。騒いで目立つことが苦手なワタクシは誰にも話さず今日まできた。
そして、昨年8月、意図せずして深夜0時に下関市の豊田湖そばの道を一人で運転する事態に陥った。正直言って怖い。かなり怖い。しかし、この道が帰路として一番早い。もう怖すぎてバックミラーなんか見られんのでBGMを爆音にし、ハンドルを握りしめ、ひたすら運転した。結果、出てきたのは鹿、鹿、鹿。10頭は出ただろう。ある意味これはこれで怖いけど。
新築したにもかかわらず忙しすぎてまだ引っ越していない新居がある。先日、どうしても泊まってみたくて一人で一晩過ごしてみた。わーい!などと浮かれて一人晩酌をし、さあ消灯。ピシッ、パキッと音がする。むつみの山奥で出るとしたらイノシシか、タヌキか、サルぐらいだろうからこれは家鳴りってやつだな。でも怖い。どうしよう、社長に電話して迎えにきてもらおうか…いや、社長に貸しは作っても借りは作れん。『おいおい、しょうがないビビリちゃんだな』と言われるのがオチだ。結局、一晩うつらうつらと過ごす。夜明けとともにホッとする。
自由とむつみ豚を愛する一方、孤独を恐れるO型の雨女。
恐怖は自分の中にあるのだ。