総合型地域スポーツクラブ 至誠館クラブ

昨年11月17日(土)に開催された総合型地域スポーツクラブ・至誠館クラブの発会式。その後、徐々に活動を広げ、2019年度からはいくつかのプログラムを用意し本格的に始動されます。
今号の北浦うぇぶでは、その至誠館クラブの会長・髙屋英人さんと事務局・岡崎祐介さんにお話を聞いてきました。

昨年発会式のイベント情報を掲載した上でお聞きするのは恐縮ですが、先ずはじめに、総合型地域スポーツクラブとは何でしょうか?

岡崎– 総合型地域スポーツクラブとは、地域の学校や公共スポーツ施設を拠点に地域が主体となって運営され、子どもから高齢者の方まで、身近なところでスポーツを気軽に楽しむことができるスポーツクラブです。地域におけるスポーツ推進拠点として、地域スポーツ活動の充実や住民の健康・体力づくりはもとより、地域の一体感や活力の醸成、地域の活性化などの役割が期待されています。
平成7年より文部科学省が実施するスポーツ振興施策の1つで、平成29年7月には、創設準備中を含め全国で3,580クラブが育成されています。

それを萩市で行おうというのが至誠館クラブということですね。

岡崎-そうですね。私が勤めている至誠館大学では、指定強化クラブとして5つのクラブがあり、体育館や柔道場、トレーニングルーム等の設備も充実しています。この資産をもっと有効活用しなければもったいないと思っています。本学は、中国地方の日本海側で数少ない4年制大学なのに、地域との連携がうまく取れなかった過去があると聞いています。それと、過疎地だけには限らず、日本全体において、人口が増えていたころのスポーツをする環境と同じ形で維持ができなくなっている。特に人口減少が著しく、超高齢化社会の最先端にあるこの萩市においてスポーツをする環境は、目に見えて弱体化してきています。これらの問題の解決の糸口として、至誠館大学の人的・物的資産を含め地域住民に開放しようというのが至誠館クラブの目的です。

トレーニングルーム

確かに、人口減少により子どもの絶対数が減り、地域の育成スポーツ組織の運営が厳しいものになっています。学校の部活でも団体競技が困難なものになってきています。学校単位ではなく地域単位で人が集まることで何とか環境を維持しているところばかりですね。

髙屋-この問題は、スポーツだけでなく、文化と呼ばれるもの全てにおいて抱えるものだと感じています。ですので、至誠館クラブは、スポーツ活動だけに捉われず、キッズ英会話教室、シニア英会話教室、韓国語講座や高齢者向けの転倒予防教室など幅広く展開しています。人的資産というところでは、大学ですので、もちろん専門性のある教員がおり学生がいます。例えば、幼児運動教室はトレーニング指導の専門家であり、幼稚園教諭や保育士養成に関する授業を受け持つ井川貴裕助教と、将来幼稚園や保育園で働くことを目標に学んでいる学生が受け持つ教室となっています。至誠館大学が保有する人的資産を地域の皆さまと共有することで、地域住民にとっても、大学にとってもより良いあり方を模索できればと考えています。

大学教員に教わることができるのは魅力的ですね。

髙屋-人が集まるには、それぞれの分野の指導者やリーダーの存在が必要不可欠だと考えます。当面は大学教員や外部から指導者をお招きしてプログラムを組んでいきますが、最終的には地域の人々が主体的に至誠館クラブを利用して活動されるようになればと思います。

そうなっていくためにクリアせねばならないことはありますか?

髙屋-やはり先ず人が集まる環境を作ることだと思います。至誠館クラブが創設される前から大学は開放されていて、食堂なども一般の方が食べに来られても良いのです。しかしながら一般利用者は少ないです。利用者が少ない要因を考えると、そもそも知られていないのではないかと。同じように、これから至誠館クラブで魅力あるプログラムを組んだとしても、地域の人にプログラムの情報を届けることが出来なければ、人が集まることはないでしょう。先ずは地域の人に知ってもらうことからです。それと価値の創造も必須だと考えます。クラブ会員になるためには、各プログラムに参加するための会費とは別に年会費と保険料が必要です。年会費と保険料で一般は4,000円弱、中学生以下は2,000円弱です。プログラムに参加しなくても、様々な施設を使えたりするので、安いものだと思っているのですが、施設利用料を支払うことに抵抗感がある人も多い地域です。その抵抗を取っ払う何かを創造する必要があるかと思います。

確かにそれはあるでしょうね。日本の文化として部活動やスポ少など、最低限の出費でできていましたし、その出費の中に施設利用料が含まれていたとしても多くの人数で割ることができていましたので気にならないところだったと思います。しかし、今は絶対数が少なくなっていますから各団体の施設使用料の負担割合は増えています。そういう意味では、総合型地域スポーツクラブによって様々なジャンルが施設を共有し、施設利用料が気にならない出費になるというところでは同じはずなんですけどね。

髙屋-そうなんです。同じようなものであっても新しいものを受け入れにくい地域性を打破できる何かを創造しなければならないですし、知ってもらわなければと思います。何か良いアイデアはありませんか。

今回の記事で、至誠館クラブの存在は読者の方に知ってもらうことは出来るでしょうが、新聞を取られてないご家庭も増えていますし、例えばSNSなど発信する媒体を増やすことも必要ではないでしょうか。後はどれだけ既存の団体を巻き込めるかですよね。

髙屋-そうですね。地域の団体に加わってもらい関わってもらいたいのですが、そこもハードルが高いですね。状況は変わってきているのに変わることに抵抗感がある。根底にある問題は同じかもしれません。

おらが村ですからね。そこが変わらなければ総合型地域スポーツクラブは成り立ちませんね。そう考えると地域が変わるきっかけとなる可能性を秘めたクラブだと思います。

髙屋-そうなれればと思いますので、引き続き北浦うぇぶさんでプログラム情報など掲載していただきたく思います。

承知いたしました。至誠館クラブが地域の閉塞感を打破してくれるクラブとなることを期待しています。ありがとうございました。

総合型地域スポーツクラブ 至誠館クラブ

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