北浦のサッカー環境向上に一歩前進!レストライザック北浦FCU-18設立!! 代表 鷲頭崇さんインタビュー

レストライザック北浦FCとは山口県北部(長門、萩)を中心に活動するサッカークラブです。この北浦うぇぶでも2014年の設立時や選手がU15日本代表に選出されたときなど度々記事にさせていただいておりますが、そのレストライザック北浦FCがこの度、待望のU-18(高校生)カテゴリーを設立されます。山口県ではレノファ山口U-18に続き2チーム目の高校生サッカークラブチームです。
代表を務められる鷲頭崇さんにお話を聞いてきました。

■先ず、この度の高校生カテゴリー設立の経緯、きっかけをお教えいただきますか?
-いろいろな要因があります。その中でも根底にある大きな要因は少子化です。昨今、少子化により地域の子どもの絶対数が少なくなり、サッカーだけに限らずこの北浦の団体競技の育成環境の縮小は顕著なものとなっています。サッカーをしたいけどサッカーができない、野球がしたいけど野球をやれる環境がない、チームスポーツができないというのは地域格差、教育格差にもなるんじゃないかと思います。現在は、地域の子どもたちだけの小学生チームが複数存在し、地域内で試合をすることができますが、10年後を見据えたとき、地域の子どもたちだけで試合をすることは難しくなるでしょうし、1チームを作るだけの競技人口がいないなんてこともあるかもしれません。そこで、存続させるためにはチームがあるだけでなく、地域内だけでなく地域外にも注目されるようなチームとなり、地域外からも人が集まるチームとなることが求められるのではないかと考えました。当クラブは2005年より萩に小学生チーム、2008年から長門に小学生チーム、2014年からは山口県北部という枠で中学生チームを作ってきました。親御さんのご理解、ご協力、また子どもたちの頑張りで小・中学生のカテゴリーでは山口県サッカー界で名が知られるほどとなり、昨年より「レストライザックでサッカーをしたい。」と希望するサッカー少年が中国山地を越えて通ってくるほどとなりました。

■1990年代Jリーグができて、それまでのサッカー環境は激変し、子どもたちの将来なりたい職業の上位にサッカー選手が出てきて、サッカー選手を目指すため、小学校の頃から片道何時間もかけて強豪チームに通ったり、強豪チームに入るために家族で引越しされるご家庭もあると聞きます。北浦地域からも山陽側のチームに通われる方もいたりするのですよね?
-はい。山口県にもレノファというJリーグ加盟クラブができ、この北浦からレノファに通う小学生もいます。全国大会に繋がる公式戦がトーナメント式メインの小学生年代はまだ良いのですが、中学生からは年間を通してのリーグ戦がメインの公式戦となります。そうなるとプロ、大学、高校と逆算したとき、上位カテゴリーに位置する強豪チームで試合に出場するかどうかが進学などに大きく影響してきます。その為、中学生以降は強豪チームにいた方がプロになれる可能性は高く、自分のお子さんの可能性に期待される親御さんは越境や引越しをされる方は全国的にみても少なくありません。そして、そこに更なる「少子化」という要因が入ってくると、欧州のサッカー環境がそうであるように、上位リーグと下位リーグの下剋上がほとんどなくなり、将来的には田舎の下位リーグが上位リーグに上がっていくことは皆無となると予想されます。既に高校、大学はその傾向があります。それでは、サッカーで夢見る少年は必ず地域外に出ていかなければならない。これはサッカーに限らず、多くのスポーツでもそうなっていますよね。大学はさておき、それでは人口減少の中の社会減拡大に繋がるところがあるでしょう。その流れを断ち切るというか、逆転させ、外に出て行かなくても、この北浦に集まってくるような、そのきっかけを作ることが、この度の高校生カテゴリーの設立の大目的であり、将来を見据えるとそれが実現できる最後のチャンスではないかとも思っています。またこのように民間のクラブで高校生世代までを支える環境を確立し、北浦地域に人が集まるということが実現できれば、ひとつのモデルケースとなり、他競技にも拡がっていき、この北浦地域のスポーツ育成環境が盛んになる。その機運が高まればとも思っています。

■確かにこの北浦地域は過去県内でもスポーツが盛んな地域でした。他地域から越境で地域内の高校に進学する学生もいましたし、県の上位にいる部活も多くありましたね。とはいえ、他地域をみると高校の部活でもブランド力をもったところはあるかと思います。高校の部活では駄目なのでしょうか?
-駄目ということはないと思います。ただ、やはり絶対数が少なくなっているので、定員割れがあたったり、定員を削ったり、人口減少が著しい地域では、団体スポーツにとってはどうしても厳しい状況にあるかと思います。スポーツ特待生や推薦などの制度もありますが、そこはまさに争奪戦です。その点、民間クラブでは多様性を持ちながら運営できるという強みはあります。どこの高校であっても参加できるわけですから。

■総合型地域スポーツクラブ構想に重なるところがありますね。
-そうですね。そして、これは今後取り組んでいかなければならないところで、ブランド力を持ち、人が集まってくるまでは、人材のシェアが必要になるかと思います。例えば、学校の部活では、陸上やラグビー、バスケなど他の競技をしながら民間のクラブでサッカーをする。その競技に携わる指導者としては、その競技だけに没頭してほしいところだと思いますが、一つの競技だけに没頭することが必ずしも良いとも言えません。子どもの可能性を拡げることが育成であるとすれば、指導者が自分の担う環境だけに固執せず、寛容さを持ち、他競技や他団体とも協力し、包括的に地域で人材を輩出しながら地域の育成環境を向上させ、他地域から子どもが集まり分母を拡げるようにしなければならないと思います。例えば、京都サンガのU-18は立命館宇治高校と提携を結び、京都サンガU-18の子は立命館宇治高校に入学が定められています。そして京都サンガU-18だけでなく立命館宇治高校サッカー部も強豪チームとなっていて、京都サンガに入れなかったけど立命館宇治サッカー部に入る子もいます。そのように本気で青春時代を過ごすことができる環境の選択肢が同じ地域内にあるのは素晴らしいことだと思います。大それたことを言わしてもらえれば、目指すところはアルビレックス新潟といったところでしょうか。それが実現できれば、このサッカークラブだけでなく、地域のスポーツ育成環境、高校の部活なども活気がでてくるのではないかと思います。言い換えるとすれば、子どもの将来に繋がる選択肢が多くある地域づくりへのチャレンジと言えるのかもしれません。

■なるほど。壮大な話ですね。そうなれば本当に素晴らしいことだと思う反面とても難しいことではないかと思われます。
-そうですね。そんなこと無理だと言われる方も多いかもしれませんが、無理だと決めつけてしまえば、この北浦の将来は明るくはないですよね。世界には人口が数万人規模でありながら地域に総合プロスポーツクラブがあり、そこを中心に地域経済が回ったり、地域住民が誇りを持ち、充実した生活を送れる町はいくつも存在するのですから、決して無理だとは思いません。萩の人が誇りにしている吉田松陰先生の教えである「夢なき者に成功無し」や「志を立てて以って万事の源と成す」というマインドを持ちながら、金子みすづさんの「みんな違ってみんな良い」といった寛容さを持ち合わせることができれば、未来のために変わっていくこと、変えていくことが楽しくなるのではないでしょうか?地域のスポーツ環境における草莽崛起を大人がやっていかなければと思います。

■是非そうなればと思います。今後の展開などをお教えください。
-大それたことを言った後に小さい話になるのでお恥ずかしいところですが、先日、高校生代の日本サッカー協会の登録を済ませました。既に数名は入団希望者がいますが、先ずはメンバー集めになるかと思います。ただ中学生チームもありますので、サッカー界特有のクラブチームのみに許された飛び級制度も使いながら、今年度は高校生チームとの練習試合をしていくことを計画しています。そして来年度からは高校生年代の公式戦にも出場していきます。一番の課題というところでは、地域外から選手が集まるよう、著名な指導者を招き入れる必要があるというところです。残念ながらこの春、当クラブの指導者が鹿島アントラーズの育成組織に移籍しました。しかしながら、日本トップレベルのプロチームともネットワークが繋がったとプラスに捉え、U-18の活動と並行して、著名な指導者と契約できるよう努めていかなければなりません。
また、地域貢献というところでは、既に小中学生のカテゴリーではある程度、確立できている地域の交流人口の増加を、クラブチームのネットワークを使いながら高校世代においても展開していくというおころです。大変ありがたいことに、現在長門市には県内でも有数のサッカーの試合ができる施設があります。できれば阿武町や萩にも環境が増えれば、もっとこの北浦に地域貢献ができるのではないかと考えています。

■なるほど。育成環境を向上させるだけでなく、交流人口を増やすという地域貢献ができるのもクラブチームならではの特徴ですね。
-はい。現在、当クラブ主催、共催での小学生中学生の大会等の運営で年間15000人ほどの交流人口があり、宿泊者も年間3000人まで増えました。この流れがサッカーだけでなく、他の競技にも拡がれば、北浦の将来に大きく影響を及ぼすのではないかと思います。こればかりは、学校の部活では難しいところで、民間のクラブチームが取り組んでいかなければならないところだと思います。そこで力を発揮し、更に学校の部活や他クラブチームと協力できれば、更なる育成環境の向上に繋がるものだと考えます。ですので、育成環境の向上と地域貢献は切っても切り離せない関係にあるかと思います。

■確かにそうなのでしょうね。レストライザック北浦FCの更なる発展による地域の活性化を期待し、北浦うぇぶでは引き続き応援していきたいと思います。
-ありがとうございます。我々ももっと地域と繋がっていきたいと思いますので、宜しくお願い致します。

レストライザック北浦FC U-18設立説明会
日時 5月7日(火)19時~20時
会場 萩市民体育館研修室
問 レストライザック北浦FC公式サイトお問合せフォームから、若しくはレストライザック北浦スタッフ田村(090・7971・7368)へお問合せください。
WEB https://restreizack.club