一般社団法人山口県社会福祉士会 会長就任 至誠館大学 ライフデザイン学部 准教授 梅木 幹司(うめき もとし)さん (52歳)インタビュー

1993年9月に任意団体として発足された山口県社会福祉士会。2009年には一般社団法人山口県社会福祉士会として新たな一歩を踏み出し、現在は、会員数700名を超える職能団体となっています。そして、今年6月29日に開催された一般社団法人山口県社会福祉会の定時社員総会にて至誠館大学ライフデザイン学部 准教授の梅木幹司さんが会長に就任されました。
任期は2年。組織の目的である「社会福祉士の倫理を確立し、専門的技能を研鑽し、社会福祉士の資質と社会的地位の向上に努めるとともに、社会福祉の援助を必要とする山口県民の生活と権利の擁護及び社会福祉の増進に寄与すること。」を目指し、邁進する梅木幹司さんにお話しを聞いてきました。


■ご就任おめでとうございます。まずお聞きしたいところでは、あまり聞きなれない「社会福祉士」とはどのような職なのでしょうか?介護福祉士とは違うのですよね?
-ありがとうございます。ご質問の社会福祉士についてですが、いわゆる「ソーシャルワーカー」と呼ばれる社会福祉専門職の国家資格です。社会の中で、生活する上で実際に困っている人々や生活に不安を抱えている人々、社会的に疎外されている人々と関係を構築して、様々な課題の相談を受け、色々な制度や福祉サービスを利用して、それらの人々と一緒に課題解決に取り組む職業です。ただ、国家資格をもつソーシャルワーカーの中には精神保健福祉士も含まれるので精神保健福祉士以外のソーシャルワーカーが社会福祉士になります。そして、直接要介護者に対して介護サービスを提供する介護福祉士とは違いますね。また、社会福祉士は介護福祉士と同じ国家資格に分類されますが、社会福祉士は、独学で受験資格を得ることはできません。福祉系の大学・短期大学か、養成施設などに通い、所定の課程を修了する必要があるところも大きく違います。

■幅広く社会で困っている人を助ける職業といった感じでしょうか?
-そうですね。認知されているところで、高齢者や障がい者の福祉施設などで、日常生活を送ることが困難な人たちの相談に応じる生活相談員等。行政機関では、生活保護の支援策を決定するケースワーカーや医療施設で患者の相談に乗ることを仕事にしている医療ソーシャルワーカー。また、最近では教育現場で、児童と保護者との相談や彼らへの支援を行うスクールソーシャルワーカーがあります。

■山口県社会福祉士会の会長となり、どのようなことに取り組んでいかれたいですか?
-そうですね。先ほどから頂いてる質問のように、社会福祉士の認知度が低いことは大きな問題の一つです。社会を寄り良いものに改善していく職業であるのにも関わらず広く知られていない。現代社会は、より複雑なものになり、社会で生活するうえで困ることは多岐にわたっています。だからこそ社会福祉士が活躍する必要があるのに、認知度が低いばかりか、社会的地位もあまり高くないとも言えます。その環境改善に努めていきたいと思います。

■介護福祉士もそうですが、必要とされているなら賃金も高くあるはずなのに、そうではないという現状があるのでしょうね。環境改善のためには、どのようなことが必要だとお考えですか?
-やはり社会福祉士という職業、資格があることを広く知ってもらわなければと思います。そして、社会福祉士は大学・短期大学か、養成施設などに通い、所定の課程を修了する必要があるので、目指す人たちの裾野を広げるためにも、養成校への入学者を増やしていく必要があるでしょう。

■至誠館大学は社会福祉士の受験資格を得るための課程があるのですよね?
-はい。あります。社会福祉士の平均合格率は30%弱なので、決して合格しやすい資格とは言えません。本学ではサポート体制を整え、一人でも多くの合格者の輩出を目指しています。その結果、毎年のように合格者を輩出し、多くの卒業生が福祉の現場で活躍しています。

■社会に必要とされるはずなのに、社会的地位が高くはなく、更には資格取得のハードルが低いわけでないのに平均所得が高いわけでもない。何だか混沌というか、パラドクスというか…。そう考えると社会福祉士会の役目はとても重要で、梅木さんの活躍は地域社会が良くなるために直結するものだと感じます。
-そうですね。社会福祉士会の会長として社会福祉士の社会的地位の向上を目指し、大学の方では社会福祉士を多く輩出できるよう努めなくてはなりません。その両輪を回していく大変濃い2年間になるかと思います。

■ご活躍を期待しております。