連載 むつみ豚と雨女 第24回

吉部八幡宮秋季例大祭。
子供のころは地元の八幡様のお祭りくらいの認識で 楽しみでもあったが、大人になってからは行くこともなくなった。この数年、我が娘が巫女を務めるの で巫女保護者として参加している。
そして今年、巫女保護者代表として『巫女探し』の密命を帯びる(隠すほどではないが)。
巫女を務めるには、気力体力集中力、衣装のサイズを考慮すると小学校4年生以上が望ましい。家庭の事情もあるので手あたり次第スカウトというわけにもいかない。
いない、いない、いない。巫女候補がいない…。我が家はちょっとした子だくさんではあるが、女児は一人だけ。あとは男ばっか。巫女探しが難航し、かくなる上はワタクシが巫女をやらねばと思ったが、どうやらそれは神様と世間様がおゆるしにならない。ワタクシの巫女姿なんぞに需要があるとも思えないな。完全に可笑しなコスプレおばさんだ。うちの社長に恥をかかすわけにはいかんいかん。
そんな冷笑的冗談はさておき、なんとか大巫女2名、小巫女4 名を無事確保。それから全員分の巫女舞練習用DVD作製、配布、日程調整、練習用おやつ買い出しと慌ただしくなる。
巫女舞、結構難しいんですよコレが。サウンドは太鼓と笛。リズムは一定のようで不規則。しかし頭も体もガチガチのおばさんと違って子供達はすぐに覚える。
前夜祭と例大祭。大巫女の頭飾りがずれるハプニングはあったものの巫女たち、素晴らしく良く舞った。ペラペラの衣装で寒かったろう、夜の神社怖かったろう。ありがとう少女達。また来年も頼むね、と感謝しつつ来年の巫女候補が例大祭のお客さんの中にいないか物色する。
例大祭の最中、長男坊より着信アリ。『アパートの鍵なくしちゃった~』おぉ、息子よ、ママがすぐに行くから待ってなさい。合鍵10本くらい作っとこ。