長門市地域おこし協力隊 仕事創出担当 岩本 絵梨子さんインタビュー

今年2月15日に長門市で14人目となる地域おこし協力隊に就任された岩本絵梨子さんにお会いしお話を聞いてきました。

■先ず、ご出身や経歴をお聞かせ願いたいと ころですが、その前にとても気になるところで「仕事創出担当」って何ですか?今までこの北浦で出会った協力隊の方は○○地区担当といった形でしたが…
-日本全国で就任される地域おこし協力隊の多くは、おっしゃるとおり「地域」の担当をすることが多いです。業務は色々とあるかと思いますが、多くは農林水産業のお手伝いであったり、地域の情報発信や観光アピールなどを行ったりされているようです。私が担う「仕事創出担当」は、「仕事」を軸に今までの長門市にない何かを創出することが目的になるかと思います。今までにないものですから、とても漠然としていますが、一言でいえば、長門市で働きたいと思っていただけるような情報の発掘・発信や、その名の通り新しい仕事を創っていくといったところでしょうか。私が応募したタイミングでは、この「仕事創出担当」を設けている自治体は全国で長崎県の自治体と長門市だけでしたので、馴染みのないものだと思います。

■なるほど。生産者人口の減少が著しいこの北浦にとって最重要課題であり、とても難しいミッションに立ち向かっていかれるわけですね。
その全国的に珍しい業務を担う岩本さんですが、ご出身はどちらで、どのような経歴の持ち主なのでしょうか?
-出身は周南市で高校まで住んでいました。京都の大学に進学し、大学卒業後は中小企業向けシステム設計や運用、販路拡大を主たる事業としている株式会社アイルに就職し、8年間大阪で過ごしました。株式会社アイルではwebサイトの営業や職業訓練校の講師などを担当させてもらいました。その後キャリアアップの為、転職を考えたのですが、次の職に就く前に海外へ遊学したいと思い切り、フィリピンの英語学校へ2ヶ月半、デンマークに半年間渡航しました。約1年間の遊学を終え、できれば実家に近いところで就職できればと考えていたのですが、1年ブランクがあると自分のキャリアを活かすことができる就職先を地方で見つけるのは難しいものになっていました。結局、東京で職を探すこととなり、リクルートホールディングス傘下のリクルートメディカルキャリアに就職したのが31歳のときでした。リクルートメディカルキャリアは、医師看護師薬剤師の転職支援や病院の採用支援が主たる事業とする会社で、私はキャリアアドバイザーや市場調査、ダイバーシティープロジェクトなどを担当させていただきました。
2つの企業で積んできたキャリアも、「仕事創出」を担うのに関係したものだと感じていますが、それ以上に、この「仕事創出」に関係し、長門市に移住するきっかけとなったのは、前職の在籍中に通っていた社会人大学院・北陸先端科学技術大学院の知識科学科での経験と、そこに集まる方々との出会いでした。

■「仕事創出担当」同様、知識科学科というワードも聞きなれない…というか、初めて聞く学科なのですが、具体的にどのような学科なのでしょうか?
-日本では数少ない学科で、例えばサービスを「科学する」サービスサイエンス論等を学び自身の携わる仕事を理屈で深堀していきます。サービスサイエンスとはIBMが提唱した概念で、科学、経営、工学の応用的領域で、企業などの組織が他社と一体となり価値や利益を生み出すことを目的とした分野です。そのカリキュラムの中で、自らの仕事を論文化したり、より良い仕事とは何かを考えたり、ディスカッションしたりと、社会に必要とされる「仕事」とは何かを深く考えるようになりました。そして、通われる方は、ソニーや富士通、NECといった大手電子機器メーカー出身の50代、60代の方が多く、セカンドキャリアに繋げることを目指している意欲的な方も多く、そのような方々と今の日本社会の課題を探り、解決案を見出す時間はとても刺激的で充実したものでした。

■お話を聞くと、日本経済の最前線で力を発揮するための学科であるように思えますが、地方での仕事創出との関係はどこにあるのでしょうか?
-北陸最先端技術大学院の社会人大学院は東京サテライトキャンパスで、本校は石川県にありました。私が在学中に総務省などが後援した「大学生まちづくりコンテスト」に本校の大学生と一緒に参加したことです。地域課題を見つけ、地域創造に繋げるというプロジェクトに参加させてもらい、地方創生ではないですが、これからの日本を力強くするには、地方に鍵があると強く感じたからです。そうして、大学院の卒業を機に退職し、地方で働こうと決めました。

■長門市に応募した理由は何だったのでしょうか?
-卒業後、全国UIJターン促進のイベントに参加し、地域おこし協力隊として地方に行くのもありだなと思うようになりました。できれば山口、福岡、広島あたりでと探していたところ、観光や農業などに携わるものばかりで、観光も良いのですが自分のキャリアから外れるし、行ってもそんなに役に立てないのではいかと不安もありました。とはいえ面白そうなところでは、宮城県の方々の勧誘がお上手で観光事業に惹かれたのですが実家までの時間が10時間となると本末転倒だなと断念しました。

■そうして2月に就任されたわけですね。就任してまだ2ヶ月ですが、これからどのようなことを取り組んでいかれるのか計画などはありますか?
-まだ2ヶ月ですが、MAX3年の任期と思えばもう2ヶ月経ってしまったと焦るばかりです。現時点では、これまでの経験を活かし、企業広報や採用支援教育支援、個人の創業支援などができればと考えています。大枠としては、活動拠点を長門市しごとセンター内・NPO法人つなぐにさせてもらってますので、NPOと連携を取りながら長門市の「まち」「ひと」「しごと」を繋ぐ活動をしていきたいと思います。そして、活動の中、お会いさせてもらう地域企業や事業所の方々の情報をプラットフォーム化し、「長門市で働きたい」「長門市に住みたい」という意識を醸成することができればなと考えています。更には、自らも3年の任期を終えたとき定住できるよう、創業も視野に入れています。

■なるほど。確かに3年という期限の中での2ヶ月は短い時間ではないですね。3年間で色々と活動を拡げてもらいたいなと思いますし、長門から日本を元気付ける何かを創出してもらいたいです。北浦うぇぶでもお手伝いできればと思いますので、情報発信に使われるなり何なりとお申し付けください。コラムを寄稿してもらうのも良いかもしれませんね。
-市役所の方と相談してみますね。

■宜しくお願いいたします!