1961年生まれ 廣畑利章さん 満60歳 廣畑利章税理士事務所 所長

■これまでの人生を振り返ってみていかがですか?
-今でこそ税理士事務所の所長をやっており税務を中心に日々様々な勉強をしていますが、学生時代は全く勉強しておらず、現在、萩高校の分校になっている元奈古高校に在籍し、成績はクラスで最下位の方でした。食品製造科に在籍し一応食品に関する勉強をしたということで、卒業後は製パン会社に就職するのですが、高校卒業する前から、製パン会社で勤めるのは1年だけと決め、そこから自分の人生をどうするか考えようとしていました。実際1年で製パン会社を辞め、とりあえず日本で1番大きい都市、東京に行き、そこで何か感じること、考えることがあるだろうと期待し上京。2.3年ほどフリーターのような感じで生活しました。この間には東京だけでなく、いくつかの地方を転々とすることもありました。なにせほとんどお金を持たずに東京にいったのでアパートを借りるお金も無く住込みで働ける場所を探していたので上京当初はそのようになりました。そのように生活に追われながらも、自分は社会の事を全く知らないなと行き詰まりのようなものを感じました。色々考える時間、知る時間が欲しいと思うようになり、その頃、大学院に通っている知人の精神的な後押しもあり大学に行こうと決心しました。住み込みで新聞配達をしながら独学で受験勉強をし、私立大学に入学します。その時、既に22歳を超えていましたので、大学入学したはいいが、このまま卒業しても働き口がないだろうなと、資格に関心を抱くようになります。そうして税理士という資格があることを知ったのですが、勉強を始めてみたものの、簿記の勉強が好きになれず、大学在学中は日商簿記の3級の資格を取ったのみで税理士試験も大学の経済学部などであれば3年生から受験資格が与えられたので、一応受験はしました。一応受験という程度の姿勢で受かる試験ではなかったので税理士試験については何も成果のないまま大学を卒業します。その後、現在も交流のある先生の税理士事務所に勤めさせていただき現在の仕事のイロハ、厳しさを教えていただきました。このころは東京に住んで以来、初めて人にいえるような定職についたことに安心してしまい、職場の同僚などと楽しく遊んでいたので相変わらず形だけの受験生を続けていました。30才を過ぎたころ、このままたいした努力もせずに税理士受験を続けるなら税理士事務所で働き続けてもしょうがないと思い、退職を決めました。その際、このままの形で受験をやめてしまったらその後の生き方に悪い影響があると思い、どうせなら1度だけでも真面目に勉強をして受験しようと試験に臨みました。結果がどうあれ試験は最後と考えていたので、税理士事務所を退職し33、4才の頃萩に帰ってきました。そして、実家の建設会社に身を置かせてもらい数カ月。最後にと思って受験した税理士試験の合格発表は、1科目合格。ただ税理士試験は科目合格制で5科目合格してはじめて税理士試験の合格者となるのですが30代半ばで1科目の合格では続けたところでいつ5科目合格するかわかったものではないので、気が進まないところはあったわけですが、実家の状況などもあり、また本気で税理士目指すとしたら、30半ばの今が大きな分岐点になるだろうと、以後、実家の建設会社で働きながら勉強する日々を送ります。実家の建設会社では私自身が経営者ではありませんでしたが経営者一族ではあったので税理士側ではなく、経営者側で税理士業というものを見たことで、新しい発見もありました。その後41才のときに今の事務所の前身である藤税理士事務所へ入所、最終的に税理士試験合格は47才のときです。そして今から7年程前、藤税理士事務所の所長、藤敬之助先生が亡くなられ、有資格者であった私が事務所を引き継がせていただくこととなり、現在に至ります。私の職場でお話をしたのでなんとなく税理士試験を中心としたお話になりましたが、だからといって社会人になってからの人生の中心に常に税理士試験があったわけでもありません。ちなみに萩に帰ってから結婚もしています。こう振り返ってみると、家族、職場等々、周りの人の協力があり、多くの方の御助力があったおかげで、今があるのだと改めて感じてます。そして、周りの方々への感謝がまだまだ足りていないなと思うばかりです。

■年男を迎える2021年をどのように過ごされたいですか?
-新型コロナの影響により、全てが、今までと同じ延長線では考えられなくなっており、行動範囲が狭まっただけでなく、日本全体、世界全体が経済的にも、なかなか厳しい状況のなかで生きていかなければなりません。そのような中、税理士として、事業者の皆さまのお手伝いをさせてもらい、何とか継続できている方々が、回復できたとなるまでのものを手探りで見出したいと思います。最終的には国の援助なくやっていけるようにならなくてはなりません。耐えることも多くなるかと思いますが、耐えるとこはしっかり耐え、数年後、振り返ったとき思い出深い1年になればと思います。

■今後の人生をどのように歩まれたいですか?
-今年60歳を迎えますが、受験生としての期間が長く、まだまだ社会への貢献が足りていませんので、引き続き税理士として貢献していきたく思います。個人的な願望と社会からの要望がせめぎ合うこともありますが、やらなければならないことのハードルを高く構えつつ、楽しく過ごしたいなとは思います。また、正しさというものは、範囲を狭めれば正しいものも、範囲を拡げれば正しくないものあったりと、曖昧な部分もありますが、損得だけではなく、正しいか正しくないかの判断を重視して、これからの人生も歩みたく思います。そして家族を今以上に大事にして過ごしていきたく思います。