体に優しい、地球に優しい、蒲鉾を! 三好蒲鉾の「萩」が第75回全国蒲鉾品評会 農林水産大臣賞を受賞! 有限会社三好蒲鉾代表・三好忠之さんインタビュー

昭和22年より毎年開催され今年で75回目となる全国蒲鉾品評会。焼き抜き蒲鉾が名産である萩地区からも各社が毎年、品評会に出品され、今回を含め過去25年間で6度、最優秀賞に該当する「農林水産大臣賞」に選出されてきました。そのうち三好蒲鉾さんの竹輪が2度、農林水産大臣賞に選出されました。その中には、既にお店を畳まれて二度と食べることのできない逸品もある中、この度、この萩地区で「農林水産大臣賞受賞焼き抜き蒲鉾」の4本目に有限会社三好蒲鉾の「萩」が仲間入りしました。

この度の北浦うぇぶでは、三好蒲鉾5代目となる三好忠之さんにお話しを聞いてきました。

 

■農林水産大臣賞受賞おめでとうございます。先ずは受賞された焼き抜き蒲鉾「萩」がどのような蒲鉾かお聞かせください。

-特徴は、原材料はエソを主原料とした国産鮮魚100%の魚肉を使用し、卵不使用で無澱粉。味付けはアミノ酸等の化学調味料は使わず、萩産の干し椎茸と国産の鰹節・昆布の天然素材を自社で配合し抽出した「合わせだし」、国産鮮魚「エソ」の骨を煮て抽出した「エソだし」をブレンドした100%自家製だしで味付けし、天日塩、有機砂糖で味を整え、保存料やリン酸塩も使用しない、体に優しい焼き抜き蒲鉾となります。

 

■素材からの拘りをとても感じさせてもらえます。この焼き抜き蒲鉾「萩」は、いつから製造されているのでしょうか?また、商品開発のきっかけや経緯をお聞かせください。

-「萩」は平成29年に商品開発し、今年で製造7年目となります。日本全国の魚肉練り製品の多くは、原材料はコスト面や大量生産の観点から海外で生産される輸入冷凍すり身を使用し、アミノ酸等の調味料が使われています。日本の漁獲量が昭和59年をピークに減っていき、現在ではピーク時の約3分の1以下しか水揚げされなくなっています。そのような中、三好蒲鉾では、国産天然の鮮魚にこだわり、自社工場で生すり身にし、石臼で練る昔ながらの製法で作ってきたのです。日本近海の魚が少なくなっている要因の一つに考えられているのが、「農作物を作るときに使う農薬である」と、東京大学山室教授が科学学術雑誌サイエンスに寄稿された論文の講演会を聞きました。農薬が河川に流れ出ることにより、殺虫剤は虫と同じ甲殻類やプランクトンに、除草剤は海藻の生態に影響を与えてると言われ、魚のエサとなるものが殺傷されることによって河口付近、沿岸の魚の生態系に影響を与えていると知り、魚を原材料として蒲鉾を作るのに、魚の生態系に影響を与えてしまう可能性がある環境下で育てられた農作物(サトウキビ等)を、味付けに使うことに葛藤を覚え、魚以外の原材料も有機栽培で育てられたものを使い、蒲鉾を作ろうと考えたのが、焼き抜き蒲鉾「萩」を商品開発した動機になります。また、孫がアトピー性皮膚炎を患っており、孫にも安心して蒲鉾を食べてもらいたいと、アミノ酸等の調味料、保存料、リン酸塩を使わない、そして卵も使用しない、体に優しい蒲鉾を作ろうというのも、一つの動機になります。

 

■SDGs的な観点から見ても優れた蒲鉾ですね。その他、拘わっているところはありますか?

-持続可能な漁業と農業のためになるような練製品を目指して、将来的には当社の全ての商品を化学調味料、保存料無添加を目標としています。アミノ酸等の調味料を使っていないことを謳われる商品は今日多くあると思いますが、アミノ酸等の調味料を使っていなくとも、原材料にエキスと表示されていたりすると、敬遠される方も多くいらっしゃいます。そこで、当店ではお客様に安心をお届けし、信頼していだだけるよう、自社製造した出汁を使って味付けしています。

 

■そうなると、決して生産性の高いものではなくなりますよね?

-はい。そのため、焼き抜き蒲鉾「萩」は、基本受注生産とさせていただいており、ご注文をお受けしてから材料である魚エソ等を調達するため、お届けまでお時間を要することがございますので、ご予約をおすすめしています。ただ、受注したときは、受けた数だけきっかりと作れないので、端数を店頭販売しています。ご来店いただいたとき、完売の際はご了承ください。

 

■どのような方がお買い求めになられますか?

-地元の方はもちろん、市外県外の方が多いです。当店WEBサイトからネットショッピングでご注文される方、また、萩に観光に来られて、お泊りになられた宿泊施設で焼き抜き蒲鉾「萩」を知られ、三好蒲鉾まで足を運ばれる方もおられます。この様にこだわり抜いた蒲鉾は希少なので、購入出来て大変お喜びになられていました。あと、ふるさと納税の返礼品としてチョイスしてくださる方も多く、返礼数では萩市の上位となっていると聞きました。種類多くある返礼品の中から選んでいただけ、大変有難く感じています。

 

■地元の方にも是非食べていただきたい逸品ですね!

-はい。決してお求め易い価格ではないので、晴れの日やイベント等で食していただければ嬉しいです。イベントというところでは、この5月19日(日)に開催されます「浜崎伝建おたから博物館」に出店します。焼き抜き蒲鉾「萩」と同様、こだわり抜いた原材料から製造している、山口県産剣先イカを使用の「いか団子」と国産ごぼう使用の「ごぼう天」を実演販売いたします。こちらは蒲鉾と違ってつなぎを使用するのですが、「いか団子」の方は、九州産の「有機小麦粉」を使用し、通常は「有機べに花油」で揚げ、「ごぼう天」の方は、つなぎに北海道産の馬鈴薯澱粉を使用し、こめ油で揚げています。どちらもからだに優しい揚げ蒲鉾ですので、ご来場の際には是非食べていただきたいです。イベント当日は、両品ともこめ油で揚げます。

 

■農林水産大臣賞受賞蒲鉾と同じコンセプトで製造されている揚げ蒲鉾も注目ですね。ありがとうございました。

 

 

有限会社 三好蒲鉾
萩市浜崎新町53
☎ 0838-22-0978
WEBサイト https://www.miyoshikamaboko.com/