Re:北浦リレーションシップ 第92回 ㈲萩スーツセンター 鈴井 康史さん(44歳)

北浦リレーションシップ92人目は萩市福栄コミュニティ協議会教育文化部会部会長の石川淳一さんからの紹介で、素潜り漁師や潜水士が着るダイバースーツの製造業、㈲萩スーツセンターの鈴井康史さんです。

■先ずは鈴井さんの半生をお聞かせください。
-生まれは徳山で2歳のときに、素潜り漁師が多い萩に引っ越してきました。小学3年生のときまでは明倫、小学4年生からは現在の場所に引っ越し椿東小に通い、萩第一中学校(現萩東中)から萩工業高校(現萩商工高校)に進みました。卒業後は就職も考えていましたが、色々と資格も取れるし、家業を継ぐにしても役立つだろうと、広島県尾道市の日本海洋技術専門学校に進学しました。社会人になり静岡のダイビングショップで3年ほど働き、23歳のとき帰郷し家業に就き、現在に至ります。

■ダイバースーツ製造業とは、とてもニッチな職業ですよね?
-全国では至るところにあったりもします。ただ確認はしていませんが県内では製造を主としてやっているところは他にないと思います。

■では、北浦側だけでなく山陽側からもお客が来られたりするわけですか?
-そうですね。それでも素潜り漁師の方が多い北浦のお客様の割合は多いです。その他では山陽側というより全国各地にちらばっている潜水士の方々からの発注も多いです。震災後は東北の方に潜水士が集まっていますので、東北の方に発送することもあります。

■ちなみに漁師や潜水士はダイバースーツ購入のサイクルはどのくらいなのでしょうか?
-ほとんどの方が年に1回、2回は新調されます。科学の進歩により素材は良くなってきますが、やはりゴム製品なので、直射日光によりヒビ割れたり、使うたびに縮んできますので保温性が下がったりします。あと体型が変わることで新調される人も少なくありません。

■となると、結構な需要があるものなのですね?
-素潜り漁が解禁となる前はとても忙しいですが、海の変化や乱獲していた時代もあり、漁に出ても獲れないということで素潜り漁を辞める人も多いですし、素潜り漁に就く若者が少ないこと、また高齢化も進み、総体的にみると需要は年々減少してきています。

■ダイバースーツは体型にマッチしていないといけない。また遠方からの発注も少なくないと言われていましたが、皆さん遠方から採寸に来られるのですか?
-近隣の方は採寸に来られますが、遠方の方は採寸シートに記入してもらっています。20箇所をご自身で測っていただければ、ご本人の体にマッチしたスーツを製造することができます。

■萩スーツセンターのダイバースーツの特色などはありますか?
-一人ひとりの型紙を作り、可能な限りお客さまの細かい要望にも応じて製造します。ですので間違いなく体にフィットし、既製品に比べ、海中作業中でも機動性の優れたスーツになっています。

■ニッチな職業でありながらも、絶対数は減ったといえどスーツを必要とされている方はおられます。後継者は居られますか?
-需要も減ってきますし、独り身なので後継者については考えていません。従業員は現在3名ほどいますが、高齢化も進み、かといって若者が憧れる職業でもないです。それでも必要としてくださるお客様がいる限りは規模を縮小したとしても続けていこうと思います。

■日本の地域問題に当てはまる状況なのですね。改善策があるとしたらどのようなことでしょうか?
-素潜り漁業者が栄えていけば可能性はあるかもしれませんが、海がこのような状態では素潜りに限らず、漁業者が増えることも考えづらいです。とはいえ、無いと困る人もおられますので悩ましいところです。

■海外に輸出とかの可能性は?
-海外でも素潜り漁師はおられますし可能性はないわけではないと思います。とはいえ、過去、海外からの受注経験もなく、何ともいえませんが、ワンオフものだけに難しいところがあるのではないでしょうか。

■話は変わりますが地元に対して思うことがあればどうぞ。
-観光産業の振興にお金をかけ過ぎているように思えます。正直、観光産業とは直接関係ない者としては、もっと地元の人に目を向けてほしいなと思います。あと、市民性なのかもしれませんが、何をやるにしても統一感がないというか、一体感がないというか…。足の引っ張り合いのようなこともあったりしますし、出る杭は打つようなこともありますし、もったいないなと思います。他の土地に負けない素晴らしいものがあるのに活かしきれていない。隣の芝は青く見えるものかもしれませんが、お隣長門市や阿武町は萩にない一体感があるように思えます。

■ありがとうございました。

次回北浦リレーションシップは鈴井さんのご紹介で㈲松陰堂印刷所の原田啓さんです。

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