はぎビズセンター長・獅子野 美沙子さん インタビュー

2008年8月に、静岡県富士市産業支援センターf-Bizが設立され、2016年以降、f-Bizをモデルとした中小企業支援機関が全国各地に設立され、売上UPを実現した中小企業が次々と生まれました。そして、今年2月、萩市ビジネスチャレンジサポートセンターはぎビズが開設され、そのセンター長に就任し、現在、100社を超える市内事業者の相談を受ける獅子野美沙子さんにお話しを聞いてきました。

Q.先ずはご出身をお聞かせください。またどのような学生時代を過ごされたのかお教えください。
-出身は島根県益田市です。益田高校から寮生活で休みなく勉強三昧だったので、あまり遊んだ記憶がないです。生徒会や部活では部長をやったりと何かと役職に就いていました。大学から大阪に出たのですが、実家が好きで連休があると帰省していました。その頃から帰るたびに地元の元気がなくなっているのを感じて、何か出来ないかなという思いが生まれました。丁度その頃、地方創生ブームが始まった頃で、デザイナー集団が地方の産品のパッケージをおしゃれにするなど、いわゆる地方の成功事例が雑誌などで特集されるようになってきました。しかしそれらは一過性のものが多く、地域の人はおしゃれなパッケージになっていきなり売上が上がって、その後どうしたらいいのか分かるのかな、と疑問に思っていました。とはいえ、当時は社会人経験や実績がなく中途半端な関わり方をして混乱させるのではなく、地域とはいつか覚悟を持って付き合いたいなと思っていました。

Q.流石というか、そこらへんの学生と意識が違いますね。それでは、職歴についてお聞かせください
-私は一人っ子で村に1人の子供だったため、犬や虫と遊んで育ったということもあり、動物に恩返しがしたいという思いから、大学卒業後はペット用品メーカーに入社します。商品企画〜価格設定、海外工場の生産管理、バイヤーとの商談など商品ができるすべての工程に携わりました。がむしゃらに働いて、どの商品を出したら売れるのか分かるようになり、達成感のようなものを感じ転職します。2社目は思い切り異業種の美容室専売品のヘアケアメーカーに挑戦しました。女性の美に対する投資は時代がどんなに変化しても変わらないことで興味があったためです。ブランドマネジャーとして数々の商品に携わるとともに、大きい会社だったので全部署の指揮をとりながら組織を動かしていく難しさを学びました。

Q.なかなかパワフルですね。そのようにメーカーの最前線で働いていた獅子野さんがはぎビズセンター長公募を知り応募したきっかけは何だったのでしょうか?
-息子を出産後、女性としてのライフイベントはほぼ終わり自分の人生本当にこのままでいいのかなと悩むようになりました。安定した収入、会社での役職もあり安泰。しかし安穏とした日々が逆に不安を生むようになりました。
きっかけは3つあって、1つ目はその頃に島根の実家に続く一本道が土砂崩れで閉鎖となり、しかも住んでいる人が少ないことから市が予算的な面で工事を先送りにし、両親はいつ家に帰れるのかわからない状態で落ち込んでいました。そろそろ地元へ帰る時なのか、と思いました。
2つ目はそろそろ自分が置き去りにしてきた地方と向き合う方法を調べようと転職サイトや本を読んだりする中で、ビズモデルの創始者・小出さんの著書に出会いました。そこに記されていた伴走型支援、ワンストップコンサルティングというものが、私が求めていた内容そのもので、衝撃を受け、通勤電車の中で涙目になりながら読んでいました。
3つ目は導かれるようなタイミングで転職サイトにビズモデル公募の説明会が東京であることを知り参加したことです。岸和田市、湯沢市、萩市の3市の公募の説明会でしたが、益田市民からすると萩市は観光で潤っているイメージがあり、知っている市が困っているという衝撃と、折角なら知っているところの力になりたい!と思い応募しました。

Q.採用され、萩に訪れて感じたこと、準備期間に感じたことなどありましたか?
-子供にやさしい土地だなというのが第一印象です。東京で窮屈な子育てをしていたので子供と歩いていても嫌な顔をされないことに感動しました。勉強のために市内宿泊施設に泊まったり、自転車で主要な施設を訪問したりして思ったのが、いい意味でも悪い意味でも時が止まっている印象を受けたので、良いところは活かし、今の時代ニーズにマッチしていないところは合わせていくことをしていきたいと感じました。また横並びを良しとする風潮はあるものの意外と横の繋がりがないことも感じたので、いい意味でよそ者の私が、第三者としてマッチングすることで萩市全体の連携の一助が出来ればと期待が膨らみました。

Q.実際にはぎビズが動き出して感じたことはありましたか?
-着任前に様々な人から「萩は難しいよ」とマイナスの言葉を頂く中でオープンしたので、当初は不安もありましたが、オープン後には「今までどこに相談に行ったらいいのか分からなかった」「経営者は孤独なので誰かと話せることは助かる」というありがたいご意見をたくさんいただき、励みになりました。また業種を問わず様々な事業者さんがいらっしゃり、前向きなチャレンジのご相談をお受けできていることも本当に嬉しかったです。何より最初の相談では暗い表情で言葉も少ない人が、3回目の相談では笑顔が増えてアイデアもたくさん飛び出すようになるなど実際に表情が変わる様子を目の当たりにして、本当にこの仕事に就けてよかったと私の方が元気をもらっています。

Q.様子を窺って順調な滑り出しのように感じました。しかし、突如見舞われたコロナ禍による自粛&緊急事態宣言…。獅子野さんのプラン、プロジェクトにどのくらい影響をもたらしたのでしょうか?
-イベント立案のお手伝いもしているのですが、コロナの影響で密になることにはストップを掛けざるを得ないところは悔しいところです。また創業についても当初思っていたよりも相談件数は少ないと思っています。全体的に通常であれば売上アップに繋がる施策も、かなり限定された方法の中から手札を切らなければならず、経営者の皆さんにとっては苦しい状況だと感じています。

Q.どのような対策を萩ビズに求められているとお考えか?

1、 政府・県・市・金融機関が日々打ち出す支援策を事業者さんがキャッチすることは難しいためスピーディな橋渡しをすること。
2、混乱した状況の中で取り組むべき優先順位をつけることで冷静さを取り戻していただき、前向きになっていただく提案をすること
3、コロナで停止するのではなくアフターコロナを見据え今だからできることを一緒に考えていくこと
だと考えています。

Q.伴走型事業支援という立ち位置で見えてきた、萩で事業を営んでる方々の特性などはあったりしますか?また、それによる獅子野さんの対応の変化はありますか?
-新しいチャレンジをするときに、萩らしいのかどうか、萩の中で飛び抜けすぎていないかという目線は事業者さんにとってとても重要であることが見えてきました。変に注目されるのは避けたいと思われたり、同業者の横並び意識を気にされたりされる方が多くおられるなと感じています。そのような市民性の中で、相談者さんが、萩の中で浮くことがなく、売り上げを上げるために新しい取り組みをしてもらうことは、より慎重さを必要とされます。それによりスピードがダウンすることがあったとしても、相談者さんが恐れずチャレンジできるものを共に考え、相談者さんが腹落ちし、やる気になってもらえるように、努めなくてはと考えています。

Q.この数カ月での成功事例があれば教えていただけますか?
-創業のお手伝いをさせてもらったり、既存の事業者のチラシを作成させていただいたり、プレスリリースをさせてもらうことで、売上アップした事例はいくつかあります。また、ブランディングのお手伝いをさせてもらうことで、それまでは出来なかったことにチャレンジできるようになった事例や、マッチングにより販路拡大に繋がり売上が伸びたという事例もあります。

Q.今後の展望をお聞かせください。
-成功事例のマッチングの件で感じたことですが、同じ市内の事業者同士でも、どのような事業を展開されているのか深くまでご存じでなかったり、わかっていても手を組めなかったりするところも多いのではないかと感じています。そういう意味でも、事業者さんと共に小さいイノベーションを繰り返し起こすことで、○○さんが面白いことをやっている、自分もやってみたい!という良い影響が広がっていき、時には連携し合いながら点が線、面でのイノベーションとなり、ひいては萩市全体の活性化に繋がれば嬉しいです。そして、センター長としての契約は1年となっていますので、契約更新できるよう成果を目に見える形で出していかなければと思います。また、たとえ契約更新できなくとも、この度、萩の皆様との繋がりもできましたので、地元益田と萩という隣り合う地域で、地域のために何かしら活動していくと思います。

Q.最後に萩市民に伝えたい事がございましたらどうぞ!
はぎビズは1回1時間、無料で何度利用してもらってもOKの施設です。経営課題の相談、と言うと重々しく予約のハードルが高く感じると思いますが、自分の中にもやもやはあるが何を相談したらいいのか分からない方や、やってみたいことはあるが方法が分からないなど、何でも気軽にご相談をお受けしておりますので、是非活用していただきたいです。皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。

Photo:Moritsugu Makitao

萩市ビジネスチャレンジサポートセンター はぎビズ
〒758-0024 山口県萩市大字浜崎町209番地
萩市インキュベーションセンター内
TEL:090-7130-4520
開館日:火曜日~土曜日 ※祝日、年末年始、臨時休業日を除く
開館時間;午前9時~午後5時
予約受付 完全予約(無料、1回1時間、何回でも相談可)

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