昨年11月からバイクハウスオータニでプレスタートされた原付レンタルサービス「乗旅HAGI」。今までになかった新たな観光コンテンツとして期待されています。その乗旅HAGIを企画し運営しているバイクハウスオータニの代表・大谷敦彦さんにお話しを聞いてきました。
■乗旅HAGIを始められるきっかけは?
-アイデアは旅バラエティ番組「出川哲郎の充電させてもらえませんか?」からです。お笑いタレントの出川哲郎さんが電動バイクに乗って、行く先々で出会う人たちに「充電させてもらえませんか?」とバッテリーの充電をお願いしながら目的地を目指し、地方の人々とふれあいながら旅をする番組です。
観光地“萩”の特色として城下町は道が狭く車で行きづらい。かといって自転車では中心地しか巡れず、世界遺産やジオパークを巡るには車の方が適している。そう考えたら萩の観光は原付か電動バイクでまわるのが一番適しているのではないかと思ったのです。電動バイクは1回のフル充電で走れる距離が短いので、やるなら原付だなと。
■パンフレットを拝見させてもらって感じたのは、観光スポットを建物や景観だけでなく、どちらかというと「人」にフォーカスを当てられていますよね。
-はい。萩に帰ってきて7年経ち感じたことは、萩には大きな企業がないぶん、自営で頑張ってる若くて魅力的な経営者がいるってことです。歴史も良いんですけど、この萩で頑張る魅力的な若い経営者と触れ合っていただきたいなと。
また、若い世代では「体験型観光」のニーズが高く、歴史的建造物や景観を見てまわるだけでなく、地元の人とふれあい、地元ならではのコアなものに触れたいと思う旅行者は増えているということもあり、若い人が観光に訪れるコンテンツを作りたいという考えがありました。
■仕組みとして非常に面白いなと感じたのは、「乗旅HAGI」で巡っているということが、利用者とパンフレットに載っている事業者の間で共通認識されているということです。その共通認識が双方のコミュニケーションを円滑に進めることができますよね。
-そうですね。「出川哲郎の充電させてもらえませんか?」も、多くの日本国民が知る出川哲郎さんという有名お笑いタレントだから成り立つところがあり、知らない人がいきなり「充電させてください。」と言ってこられたら、ちょっと戸惑いますよね。乗旅HAGIのパンフレットを手にし、夏みかんカラーのYAMAHA Vinoに乗ってこられるから、パンフレットに載っている事業所さんも快く受け入れてくれ、コミュニケーションが取りやすくなっていると思います。例えば、萩に観光に訪れて、何もなしに萩焼窯元へ行き、萩焼作家さんとお話しするのは結構ハードルが高いものですが、乗旅HAGIに協賛してくださってる窯元さんのところへは、乗旅HAGI利用者として気軽に訪れることができますし、受け入れ側も「あ!乗旅HAGI利用者ね!」と、構えることなく受け入れやすくなっていると思います。
■実際に始められてみての感触はいかがでしょうか?
-本来は11月にプレスタートして、1月2月はクローズの予定できたが、暖冬ということもありクローズせず動かしていたところ、ご利用される方が思いのほかおられました。始めてみて気付いたことは、都会から観光にこられた中年から年配の方にも利用されることが多いってことです。自動車の免許はもっているけど車には乗ったことないペーパードライバーの方は、レンタカーを借りて観光するにはかなり勇気を必要とするようで、原付だとだいぶハードルが下がるみたいです。あと、カップルで楽しまれる観光客もおられました。日常生活においてカップルでツーリングすることはほぼないでしょうから、ちょっとしたアトラクション感覚でも楽しめるようです。
■なるほど!都市部で外国人に人気の公道カートのような感じですね。そしてパンフレットに載っている店舗で受けることができる特典も魅力的で、スタンプラリーのような感じでも楽しめるのでしょうね。それにしても特典が魅力的過ぎます。
-そうですね。ダントツの一番人気は柚子屋本店さんのソフトクリームですね。乗旅HAGIでご来店された方にはもれなく無料で提供されています。今のところ乗旅HAGIご利用者はほぼ100%柚子屋本店さんには行かれています。柚子屋本店さんも、笠山まで観光客が訪れてくれるきっかけを作ってくれたと喜んでおられます。それは、他の事業者さんも同じで、自らの事業所が観光コンテンツになって観光客が訪れてくれることを凄く喜んでくれています。「乗旅の利用者が来てくれたー」と喜びの電話をくれる方もおられ、本当にありがたく思っていますし、やって良かったなと感じています。
■今後のことを考えると、ターゲットとなる層に情報を届けることが重要になるかと思います。
-現在のところ、萩に訪れてからパンフレットを見て乗旅HAGIのことを知り、ご利用される方もおられますが、県外からのご利用者は、ほぼほぼネットから情報を得て来店されます。またこの事業が山口県の「観光プロダクト造成促進事業補助金」の第1号事業ということもあり、県庁の方も積極的に紹介してくれ、県内では、県庁発信の情報を得て、訪れる方もおられます。ターゲット層はアッパークラスではなく、安宿に泊まられる方々だと考えており、SNSでバズればと、動画を作ったり、事あることにハッシュタグを付けて発信しています。またSNSを通じて「出川哲郎の充電させてもらえませんか?」のファンの方にリリースできればとも思っています。
■新たな観光コンテンツとして人気でそうですね。ふと思ったのが、人気が出てくれば出てくるほど「うちもパンフレットに載せてくれない?」という要望が出てくるのではないでしょうか?
-そうですね。実際、東京から来られた観光客が乗旅HAGIを使って、むつみの猫寺(雲林寺)まで行かれたみたいで、その翌日に、猫寺の住職と奥さんが来店されて「載せてほしい」とおしゃってくださいました。そして、むつみまで行かれる方がおられるなら秋吉台まで足を伸ばすこともできるだろうということで、現在パンフレットをリニューアルしています。サイズも倍の大きさになると思います。
■素晴らしいです!しかしながら掲載希望が殺到するとそれはそれで困ってしまうかもですね。
-そうなると嬉しいですが、増えすぎるとわかりづらくなるので、「若手の頑張ってる経営者を応援したい。知ってもらいたい。」のコンセプトから外れることなく、臨機応変に対応していきたいと思います。
■今後の展望をお聞かせください。
-先ずは認知度を高めていき、乗旅HAGI利用者を増やしたいです。利用者が増えれば、歴史と自然豊かな「萩」だけでなく、「萩に住む魅力ある人」をも気に入ってもらえると思います。住民も含めての萩を気に入ってもらえれば、その中から移住したいと考える人も出てくると思います。ゆくゆくは乗旅HAGIがきっかけで移住しましたという人を増やしたいです。
■最後に読者の方にPRをどうぞ!
-徐々に利用者が増えていますが、地元の利用者は実はまだゼロなんです。観光客向けなのは間違いありませんが、地元の方が利用しても楽しめるコンテンツです。そして、この度、新たにインカムも用意しました。お友達同士、恋人同士、家族で会話を楽しみながらツーリングし、日常では味わえない景色を楽しめます。また、インカムはブルートゥースでスマホからも接続でき、音楽を聴きながらも運転できます。ハンドルにはスマホホルダー、ボックス内にはUSB充電器も装備してありますので、バッテリーを気にせずスマホをナビに使うこともできます。デートで楽しむこともできますので、奥さんへのプレゼントにご利用されてみてはいかがでしょうか?必ず今までに感じることのできなかった萩を感じることが出来ますよ。
■ありがとうございました。
バイクハウスオータニ
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