萩ビジネスプランコンテスト2020募集始まる! 2019年度最優秀賞受賞者・岡本智之さんインタビュー

新規創業や既存事業者による新分野チャレンジによる地域の産業振興及び移住定住の促進、雇用の促進を後押しするために、2018年から始まった萩ビジネスプランコンテストは今年で第3回目となります。
この度の北浦うぇぶでは、昨年「集落生き残りレシピ ~本質的な豊かさと生き続けるために~」で見事、最優秀賞を受賞し、現在受賞プランの事業化に取り組んでいる岡本智之さんにお話しを聞いてきました。

■先ず、受賞されたビジネスプランの概要をお聞かせください
-簡単に説明しますと、山間部である萩市明木にある古民家をDIYでリノベーションして、飲食、物販、体験学習、宿泊ができる施設を作り、その施設をプラットフォームに、観光客誘致、移住者誘致、空き家対策、食のブランディング、食のPRをしていき、交流人口を増やし、特色がありながらも衰退が進む小さな村を再生していこうというプランです。

■なるほど、それでは、その事業を進める岡本さんのバックグラウンドと言いますか人となりをお教えください。
-出身は岡山県備前市で、高校卒業後オーストラリアに渡り、日本語教員補助をしながらワイナリーなどで働いていました。その後日本に戻り大学に進学し、教員免許を取得し、再びオーストラリアに渡ります。2度目の渡豪では中学校、高校の日本語教師をし、その任期後に独立しようと準備をしてました。どうやったら人は喜んでくれるかと追求する豪州での外食文化に感銘を受け飲食で起業しようと決め、開業に向け色々と話を進めていくうちに、自分のグラウンドはやはり日本にあるのだと認識し、豪州での出店は止め、日本に帰国する前に料理の勉強を主としインドネシアからはじめ第三世界を10カ月ほど転々としました。その後、日本に帰国してからレストラン勤務を経て27歳で独立。1号店は50席ほどのカフェでした。

■1号店ということは次々にお店を出されていったのですか?
-いえ、2号店までです。1号店のカフェは、再開発が進められている町でした。組合で力を合わせながら町も目に見えるように勢いづき、お店も、若い女性のお客さんが集まる繁盛店となり、自分が力を注がなくても自走できるお店になったため、物足らないというか、自分をもっと向上させ、力を発揮できる場をと考えイタリアンバルを出店しました。

■それらの経験が「集落生き残りレシピ」にも繋がっているのでしょうね。しかしながら、岡山で順風満帆に飲食店経営をされていた岡本さんが、何故、萩で地域おこし協力隊とし、新規事業に取り組んでいるのでしょうか?
-人から評価を受けると、「自分は評価に値するだけの力を持っているのだろうか?」と思う傾向があり、自分には持ってない力を持っている方々と自分を比べ、自分はまだまだだとコンプレックスを感じる性格でした。そのコンプレックスを解消するために、もっと学ばなくては、もっと力を付けなくてはと思うのですが、当時は、自分がお店のトップという事で、教えてもらう事はできず、自分で成長していく事に限界を感じるようになっていて、その環境を変えるために、お店を売却し、再び日本から飛び出し、イタリア、ポルトガル、ペルーの計5店舗の飲食店で働き、料理を学びました。

■コンプレックスが酷いというか、凄くストイックですね。それでも萩への移住に繋がりません(笑)。
-海外、特にヨーロッパの都市を渡り歩くと、その土地でしかできない、その土地ならではのオリジナルが存在します。日本にも残っていると言えば残っているのでしょうが、日本は物流が凄すぎて、どこに行っても同じものが手に入ったりします。それゆえ、生産者と消費者の繋がりが無くなるだけでなく、資本主義に飲み込まれ、地方独自のアイデンティティも薄れ、どこに住んでも同じなら、より利便性の高いところへ住もうと、都市部への一極集中が進み、地方の衰退が進んでいるのだろうなと感じました。そこで、日本に戻ってからは、今まで培った経験と育んだ力で、地方都市のオリジナルを守っていければと考え、北海道の利尻町のキッチンで働き始めます。利尻町の生活はとても理想的なものでした。食材が手に入らない。だったらどうやって作り出すかというのをとても考えさせられた場所でした。あと常に自然と生きる事が出来ていました。ただ冬場はお店を閉めるので本土に帰らざるを得ないというところがあり、根を下ろすまでに至りませんでした。そうして再度、理想的な地方を求め、探していたところ、オリジナリティが残っている萩に出会ったという感じです。

■詳しく記載したら1冊の本になりそうなくらい壮大なストーリーです!そうして、明木の古民家とご自身が培ってきた力を使って集落の再生を図るというわけですね。現在、新型コロナの影響で、計画通りに進んでないと聞きましたが、具体的にどのような影響を受けていますか?
-費用削減のため、古民家を地元明木の協力者や全国の仲間の力を借りながらDIYでリノベーションしていますが、新型コロナのため、集まってもらうことをお願いするわけにはいかず、工事が滞っています。今は、収束するのを待ちながら、できることをコツコツするしかないです。

■まだ準備期間ですが、萩ビジネスプランコンテストに応募して良かったと思うことはありますか?
-これまでに飲食店の立ち上げや複数の国での経験もあり、オープンするための知識はあったのですが、コンテストに応募すると、中小企業診断士のサポートを受けることができ、自分の感覚や理論とは違う理論と価値観を与えてくださります。特にプレゼンでの見せ方や事業計画書の作り方などは、コンテストで受賞するのに役立つものだったと感じています。

■最後に、今年の萩ビジネスプランコンテストに応募される方に一言いただけたらと思います。
-コンテストに出さなくても、ビジネスは始めれるのですが、コンテストに応募することによって、事業計画をより確かなものになりますし、中小企業診断士だけでなく、講義をしてくださる講師の方や審査員の方にアドバイスをいただけるのは、とても有意義なことだと感じました。受賞できるできないは別にして、「こんなビジネスがしてみたい」と考えられている方は、応募されてみてはいかがでしょうか?

■ありがとうございました。

萩ビジネスプランコンテスト2020
募集期間 7月20日(月)~8月31日(月)
最終選考 10月11日(日)
詳しくは特設ホームページから(https://habu-con.com