「脳」と「心」のかかりつけ医に 河井クリニック新規開設

今月3日、アトラス萩ショッピングパーク内に新しく「河井クリニック」が開設されました。心療内科、精神科、内科、神経内科を診療科目とし、精神科や心身症の病気を診るクリニックの開設は北浦地域では初めてとなります。脳と心の病気を専門とされているだけに、語り口が穏やかな河井裕幸(かわい・ひろゆき)院長に新規開業の経緯や意気込みを伺いました。

河井さん

■これまでの経歴を教えてください。
❘私は大阪市の出身で、島根医科大学(現・島根大学医学部)を卒業し、島根医科大学脳神経外科に入局しました。大学病院や益田赤十字病院に勤務し、24時間いつでも対応して治療にあたる日々を6年間過ごしました。その後、一般病院などに勤務していましたが、平成19年より2年間、地元・大阪の病院で訪問診療を経験。そして、6年前に萩病院に精神科医として勤務し、精神保健指定医も取得しました。この地域の患者様を多く診させていただいたことから、今後も継続して診療させていただきたいと思い、今年3月に萩病院を退職し、独立開業することとなりました。

■なぜ、脳神経外科医から訪問診療や精神科の診療にも携わるようになったのですか?
❘近年、手術を終えて退院された患者様は、地域のクリニックに通院されたり、訪問診療を受けられたりと、住み慣れた地域で療養していく流れにあります。若い頃、「治療や手術をしたら、その患者の一生を診るつもりで診察しなさい」と指導されましたが、一貫した診療は難しいのが現状です。脳神経外科医としてのやりがいを感じる一方で、地域の中で患者様と向き合い、診療していく形をとりたいと思うようになりました。
そんな中、当時、厚生労働省が推進し始めた訪問診療に興味を持ちます。例えば、脳卒中の術後、介護が必要になったり、寝たきりになったりする方もおられます。訪問診療は、そういった患者様を継続的に診療することができます。そこで、訪問診療医としての経験を積み、診療科目の隔たりなく、ご自宅や施設に伺い、治療や健康管理、療養上の相談など、その患者様の全てを診させていただきました。
また、脳卒中により、てんかんや認知症、うつ病を発症する患者様もおられます。これらは、精神科が扱う疾患でもあり、実は、精神科と脳神経外科は、扱う病態が重なるものが多いのです。それぞれ診察の仕方は異なりますが、一つの診療科目に捉われずに患者様を診ることができるのではないかと思い、精神科医としてのキャリアも重ねてきました。それぞれ全く違う診療科目のようですが、私としては、医師としての経験を積む中で自然とつながっていったように感じています。

■今後、どのようなクリニックを目指されますか?
❘専門である「脳」と「心」の病気を中心に、様々な方向からアプローチし、患者様にとって最も適切な治療を提供したいと思っています。例えば、認知症には様々な症状があり、外科的疾患のものもあれば、暴力性が増したり、幻視・幻聴などがあったりする場合もあります。これらも、脳神経外科、神経内科、精神科の観点から診療させていただきます。この他にも、心療内科と精神科では、薬物療法だけでなく、カウンセリングも導入する予定です。これまで培ってきた知識と経験を活かして患者様の治療に努めていきたいと思っています。
また、訪問診療の経験から、病院から退院された患者様の健康管理や再発防止にも貢献していきたいです。特に、生活習慣病は、脳卒中や認知症などの原因にもなりますので、患者様とじっくり向き合い、生活指導などのお話もさせていただけたらと思います。一方で、より専門的な診察が必要な場合は、他の病院とも連携して患者様のケアを行っていきますのでご安心ください。
研修医の頃に教わった「患者さんの病気を診るのではなく、病気を持っている患者さんを診る」という信念で、様々な病気を抱える患者様をトータルで診療していきたいと思っています。

■北浦うぇぶをご覧の皆様へ、メッセージをお願いします。
❘「脳」と「心」のかかりつけ医として、微力ですが、地域に貢献できたらと思っています。「脳」や「心」の部分で気になることはもちろん、健康相談でも構いませんので、気軽にお越しください。

河井クリニック
萩市大字土原445番地(アトラス萩ショッピングパーク内)
☎0838・24・3113