連載 コラム『むつみ豚と雨女』 第17回

全国高校総体(通称インターハイ)出場にあと少しで手が届く、そんな陸上男子400mハードルの7台目のハードルを飛び越えようとしたその時、高3次男坊はコケた。観衆がどよめくほど派手にすっ転んだ。天気は大荒れ。雨女の呪いが鳥取にまで及んだか…。

中学から陸上ひとすじ。ママが応援に行くと雨が降る上に結果が出ないという統計があるためここ一番大事な大会は応援に行かないと決めている。遠くむつみから応援しよう。結果速報もネットで見られるけど見ない。そろそろ競技終了時間かな〜て頃にラインがピコピコ鳴る。ひと言だけ『コケた』のメッセージ。

普段はクールな次男坊。口を聞くのは高〜い陸上用スパイクを容赦なくねだるか、早朝と夜間の送迎依頼ぐらいなもん。でも情に厚く涙もろくて面倒見が良い。歳の離れた妹弟のお世話を本当によくしてくれた。ミルクも寝かしつけもバッチリ。感謝の気持ちを込めて末っ子四男坊が生まれる時、命名権を贈った。次男坊は幼少より水泳・サッカー・陸上をやっており、ちょこちょこ大会に出るがいつも2番。不動の1番の少年を勝手ながらライバルと認定し追いかけ続けた。そして生まれた四男坊につけた名はライバル少年と同じ『マサキ』

『コケた』のメッセージの向こうに泣きじゃくる次男坊が見える。帰宅後聞くところ、顧問の先生も泣いたらしい。こんな時、もう親の出番は無い。一緒に頑張ってきた仲間や指導してくださる先生にお任せしよう。泣くな次男坊!君は教員志望だろう!この結果に向き合い消化し成長していくんだ。しかしママは結構ショックで翌日寝込んじゃったぞ。

それにしても今年のインターハイ陸上、沖縄なんだよな〜。
ママすっかり沖縄気分やったよ。行きたかったな〜沖縄。