NEW OPEN &Iターン 株式会社KENBO キャプテン・平井健一さん(47歳)

昨年12月に奥さんの地元・萩に移住してこられ、今年1月14日のお誕生日に空き家管理サービスを主たる事業とする株式会社KENBOを開設された鎌倉からのIターン人・平井健一さんにインタビューしてきました。

■ご出身は鎌倉なんでしょうか?
-いえ、東京になります。生まれは江東区なんですが、小学校からは治安の良い足立区に引っ越し(笑)、足立区民として育ちました。社会人になってからも東京で生活し、サーフィンが好きで、リタイアしたら、いつかは湘南に住んで第二の人生を歩みたいと考えるようになりました。いつの頃からか、人生に第一も第二もないなと考えるようになり、10年前にそれまで勤めていた印刷会社を辞め、鎌倉に移住しました。

■印刷会社に勤められていたのですね。宅建の資格をお持ちになられているので、てっきり不動産業かと思っていました。
-不動産業は鎌倉に移住してからです。当時は私を含めて3人の会社でした。今は13人くらいの会社になっていますが、その会社に勤めているときに宅建の資格を取得させていただき、会社を成長させるため、他不動産業者との差別化を図り、単純な土地建物の仲介だけではなく、中古物件に特化し、リノベーションし売買することもしていました。面白いもので、古民家など中古物件をリノベーションして住む方々は、独自のネットワークというか、類は友を呼ぶというか、お客さんがお客さんを連れてきてくださっていいサイクルで営業活動が出来ました。

■なるほど。その経験が株式会社KENBOの事業にも繋がっているのですね。萩出身の奥さまと出会われたのも鎌倉ですか?
-はい。3年前、私がたまたま参加した鎌倉の飲食店などのお店のスタッフが集まって活動しているフットサルチームに彼女が来たのがきっかけでした。

■確か昨年ご結婚されたとき萩でも披露宴を上げられましたよね?浜崎の魚市場あたりで手作り披露宴をされていたのをSNSで見かけました。
-5月に鎌倉で結婚式を挙げ、萩から来ることが出来なかった妻の友人たちにもご報告の意味で7月に披露宴を開かせていただきました。

■ご結婚されたときは既に移住を決められていたのですね?
-いいえ。でも、結婚前に妻がいつも自慢していた萩に初めて訪れた時には、本当に素晴らしい町並みで、海も綺麗で、一目惚れしました。また、妻が「子育ては萩でしたい」とも言っていたので、時が来たら移住しようとは以前から考えていました。
昨年1月の私の誕生日に妻から「今年の目標は何?」と聞かれて、「萩で商売を始める」と紙に書いて壁に貼っていました。もっとも、具体的に何か計画をしていたわけでもなく、書初めみたいなものです。そして、日々の忙しい生活に追われ、その紙はいつの間にかどこかにいってしまいました。それから色々と状況が変化し、家族のこと、会社のこと、将来のことを考えて、昨年末、このタイミングで移住しようと決断しました。移住の為、引っ越し作業をしていたところタンスの後ろから、すっかり忘れていた、「萩で商売を始める」と書いた紙が出てきて運命的なものを感じたのを覚えています。

空き家管理サービスをしようとは当初から考えられていたのですか?
-いえ、萩で商売を始める目標は立てていましたが、何をするかは決めてはいませんでした。飲食が良いかな、観光ガイドが良いかなと色々と考えていたのですが、移住する前、萩を訪れる度に、萩の持つ町並みの魅力に惹かれ、この町並みを守りたいと思うようになったのがきっかけです。鎌倉の不動産会社で働いていたことも関係するのですが、同じ歴史ある町でも、鎌倉は開発が進み、古い建物は取り壊され、現代的な住宅や建物が増えつつあります。これは鎌倉に限ったことではありませんが、古くからの町並みを維持していくことは、やろうと思っても容易にできることではありません。萩にはそれが残っている。これは大きな資産です。しかしながら今後、その町並みを構成している住宅の空き家率が増加することは確実です。老朽化が進み、住み継ぎたい人が現れたときには利用できず、放置され解体せざるを得ない状態になってしまいます。この資産を守りたい。そう思うようになり、宅建の資格が活かせるじゃないかということで空き家管理サービスを主とした不動産業を始めることにしました。

■どのような方にこのサービスを利用していただきたいですか?
-地元に生まれ育った愛着のある家があるけど、誰も住んでいないという方ですね。色々なケースがあるかと思います。仏壇があって貸すに貸せない人もおられるでしょうし、いつかはUターンして住みたいと考えているけど目途が立たない方などもおられるかと思います。空き家になると害獣の被害にもあいやすくなりますし、大雨や大風で近隣の住民の方に被害を与えてしまうなどのリスクもあり、そのようなときに対処できないという問題なども発生してしまいます。都市部にある大手の不動産業者さんが同じようなサービスを展開していますが、ネットで契約してもらって、月に1回の状況確認は地元住民に委託してやってもらうという形態のものもあり、顔が見えないビジネスになっています。そうではなく、地元に根付き顔が見える会社にしていきたいと思っています。そして、管理だけに留まらず建物の新たな利活用を提案させていただければと思います。一言でいうと「地域密着型の必殺管理人」と言ったところでしょうか(笑)

■萩の町並みに魅力を感じ、その景観を守るために行動に移してくださる方がIターンしてくださる。ほんとありがたいことです。最後に読者の方に一言どうぞ。
-昔ながらの町並みがあるということは財産です。これは本当に実体験ですが、残そうと思ってもなかなか残すことができるものではありません。この萩には昔ながらの町並みがまだ存在していて、それを守ろうとする景観条例もある。それでも、人が減り、空き家が増え、老朽化が進むと、町の魅力が薄れ、また人が減るという負のスパイラルに陥ります。また手入れのされていない空き家は近隣の防災防犯上のリスクにもなります。長い年月をかけて形成されてきた魅力ある景観という財産を維持しながら、地域の課題解決に貢献したいと思っています。どうぞ宜しくお願いいたします。

■ありがとうございました!

株式会社KENBO
代表 平井 健一
〒758-0022 山口県萩市浜崎町209番 萩市インキュベーションセンター内
☎090-4221-6727
https://www.kenbo-h.com/