今年度から徴収が始まった森林環境税。納税者一人当たり毎年1,000円徴収され、水源の維持、地球温暖化の防止、生物多様性の保全を主な目的とした森林環境譲与税が都道府県や市区町村に2019年より前倒しで譲与されています。国土面積の約6~7割が森林である我が国では、森林整備が社会問題の一つとなっており、その取り組みは全国各地で実施されており、この北浦でも、阿武町では「森林経営管理制度の取組及び里山整備事業」など、長門市では「ながと産木材サプライチェーン構築事業補助金」など、萩市では「森・職・人づくり支援事業補助金」など、様々な形で展開されています。
その様な流れの中、新たな取り組みとして、山口県・島根県西部の地場17社が運営する工務店グループ「田舎もん」が主催し、阿武萩森林組合と萩市の製材所が集い設立した合同会社ウッドクルー、そして森林資源の利活用に資する地域商社・株式会社萩・森倫館が連携し「森林を巡る家づくりツアー」を開催されます。
この度の北浦うぇぶでは、「森林を巡る家づくりツアー」の主催者である「田舎もん」に加盟する㈱水建の代表取締役・水津陽次さん、合同会社ウッドクルーからは池永商事株式会社の代表取締役・池永敏道さん、そして(株)萩・森倫館の仁科勇人さんにお集りいただき、お話しを聞いてきました。
■先ずは、「森林を巡る家づくりツアー」の概要を教えてください。
水津-簡単にツアーの内容をお伝えしますと、先ず林業の現場に行き建築構造材の材料となる木の伐採見学&体験から植樹をし、次に池永商事に移動し伐採した木の製材工程を見学します。その後、萩の木材を使用して建てられた住宅を見学するといったツアーの内容です。
■家族で楽しめる社会見学ツアーなわけですね。どのようなツアーになるのでしょうか?
仁科 -木造の建物で言いますと、森で木を育てる人→伐る人→加工する人→使う人という様に木が流れています。一生に一回の家づくりでしたら、是非家を建てる際は、その流れを知って地元の木材を使って頂き、家づくりの想いを深めて頂きたいなという気持ちで企画しました。それを、五感で感じられるツアーとなっています。
■素人目による疑問なのですが、施工する際に工務店が地元の木材を使えば良いのではないかと思ってしまいます。そもそもこの日本では高床住居が生まれて以来、長いこと地元の木材で住居を造っていたと認識しています。
水津 -戦後の高度経済成長期に建物需要が高まり、供給を追い付かせるため現場工程を削減し工期を短縮出来るプレハブ工法化や非木造化が進みました。それに伴い、木造化率は下がり国産木材が使われなくなり 更に安価で品質もある程度担保された輸入材が出回る様になりました。現在山口県産材の自給率は40%と言われています。
池永 -構造材の話に補足しますと、国産の松も構造材として使えるものですが、山口県は松くい虫による松枯れ被害が多い県で、現在では建築材として山口県の松が市場に出回ることは皆無となっています。その為、萩市もそうですが県内で伐採される樹木は杉とヒノキが主となっています。
■となると、地元産の木材を使っての家造りはなかなか難しい話になるかと思いますが…
水津 -輸入材が粗悪というものではなく品質は安定しています。ただ、木材は使用する部位箇所に向き不向きがあります。虫に強い木だとか、重さに強い木だとか、全てを地元産というわけではなく、構造材の一定の部位に使用するなど適材適所に使用するというのが最善かと考えています。
■地元産の木材需要を増やしていくために、何が大切だと思われますか?・・・この程度の質問で如何でしょうか?
水津 -ハード面においての課題も大きいのですが、その事は一旦おいて話をしますと家を建てたいと思われる方がいらっしゃった時に、まずは木造でと、同じ建てるなら素材は地元産でと潜在的な想いをもたれた方を増やすことを目標に活動していきたいと考えています。地道な活動ですが、特に小さなお子様に対して木に触れて、香りや肌触り等を感じてもらえる機会を提供する事とこの度企画しましたツアーの様に 実際ご自身で木を伐り、それをマイホームに使って頂くことで、愛着が増し特別な我が家となるのではと考え 人の五感に訴えていけるような活動をしていきたいと考えています。
■なるほど。対象者が「マイホームに関心のある方」となっているのも、そのあたりからなんですね。ふと思ったのですが、ツアーの中で、参加者が伐採する木を選ぶことができ、その木を製材した木材を使って、自らの家を建ててもらえるのであれば、凄く特別感があると思います。
仁科-はい。森林の全ての木の中から選ぶことは出来ませんが、伐採現場をアテンドしてくださる阿武萩森林組合長の金子さんが、建築材として適しているであろう木々をいくつかピックアップしてくださるので、その中から選び伐採を体験してもらえます。
■「適しているであろう」というところが気になりますが…
池永 -育ち具合で概ね伐採前に判るのですが、実際切ってみると、中は虫にやられて使えないものも稀にあります。それも、伐採した直後、切り口を見て判れば良いものの、製材段階で初めて判るものもあったりするのが難しいところです。
■なるほどですね。そのような建築材の一般には知られざるところなど知ることができるツアーであれば、更に特別感が増しそうです。
水津 -はい。金子組合長は山口県森林組合連合会の会長も兼任されている方ですので、色々とお話ししてくださると思います。また、製材所では池永さんが、ツアー全体を通して、萩・森倫館の仁科さんが住民と森林との楽しい関わり方や、日常では目も向けないところの興味深い話などお話しくださると思います。
■お話しをお聞きしたら、林業、製造業、建築業だけでなく、農業や漁業が抱える問題と類似するところがいくつかあるなと感じさせていただきました。「先ずは、自分の持ち場で出来ることから始める」その積み重ねや結合が、持続可能性を高めるものだと再認識いたしました。最後に読者の方にPRをお願いします。
水津 -この度、「森林を巡る家づくりツアー」は第1回目となります。募集人員は5組20名程度と限りがありますが、来年に第2回、再来年に第3回と、継続できる事業にしていきたいです。ご関心のある方は是非ご参加ください。また、都合が合わず参加叶わない方は、次回をお楽しみお待ちいただければと思います。
■ありがとうございます。
森林を巡る家づくりツアー
開催日 12月15日(日)
集合場所 萩市役所駐車場
参加費 無料(※ご希望の方は、お弁当を有料にて準備致します。1000円程度)
募集人数 5組(20名程度)
募集対象 マイホームに関心のある方(※契約者、未契約者どちらも)/山や森・自然、SDGsに関心のある方、※ご家族、お子さま連れでのご参加歓迎
申込方法 予約フォームから
