昨年10月22日、令和天皇即位の日、萩市江向にオープンしたイタリア料理店「vengo(ベンゴ)」。Iターンで移住して来られた新婚の若杉夫婦(夫・勇一さん、妻・清香(サヤカ)さん)が営むトラットリアです。北浦うぇぶでは当初から取材願いを出していたのですが、オープン以降連日の盛況ぶりでなかなか取材できずにおり、年が明け、やっとのことで取材させていただいました!
■やっと取材させてもらえます(笑)。オープンして3ヶ月が経ちますが、少しは落ち着きましたか?
(勇一さん)–そうですね。オープン以降、連日バタバタしていました。3カ月経ち慣れてはきていますが、落ち着いたかといえばまだ落ち着いてはいないかなと…。
■そのような中、取材に応じてくださり恐縮です。
(勇一さん)–以前より、「年明けたらお受けします」と言ってたので。
■ありがとうございます。さて、お二人はIターンで、勇一さんは名古屋出身、清香さんは横浜出身だと聞きました。萩でイタリアンのお店を構えるまでの経緯をお聞かせください。
(勇一さん)–僕の方からお伝えすると、飲食業に足を踏み入れたきっかけは、実家があるマンションの1階に洋食屋さんがあって、高校時代そこでバイトをしていたことからです。高校卒業後は名古屋市内のイタリアンレストランに就職し、25歳まで働いていました。その後、東京に行き、萩に訪れるまで、イタリアンで働いていました。
■清香さんは横浜ですよね?出会いのきっかけは?
(清香さん)–勇一さんが一時期ワインの勉強のため酒屋でも働いており、その酒屋さんの取引先の一つであったエスニック料理店で働いていました。
■なるほど!ワインの勉強ということは、ゆくゆくお店を出すことを視野に入れてですね?
(勇一さん)–そうですね。葡萄の品種を学ぶ必要があると思っていましたし、インポーターさんとの繋がりも必要だろうなと考えていたからです。あと、純粋に僕自身がワイン好きだってのもありました。
■ご結婚が2017年、その翌年に移住。萩に移住し萩でお店を出したいと思われたきっかけは何だったのでしょうか?
(勇一さん)–東京に出たものの東京で出店するイメージがまったく湧かず、モヤモヤした気持ちで仕事していました。そのような生活を送っているなか、大型連休が取れればバイクやヒッチハイク、はたまた青春18切符で全国を回るようになり、次第に「お店を構えるなら地方で!」と思うようになりました。また、名古屋での職場はシチリア出身のイタリア人がやっているお店で、東京に出た後ですが、本場の味や文化を知るためにイタリアまでいき、学びながらミラノからシチリアまで南下していった経験もあります。その時に自分はやはり南イタリアの料理、文化、雰囲気が好きだなと感じ、お店を出すなら南イタリアに似た環境であればとも考えていました。そうして2016年に初めて萩に訪れたとき「ここだ!」と決めました。
■清香さんは驚いたんじゃないですか?
(清香さん)–東京でお店を出すつもりはないんだろうなと薄々気付いていたんです。で「東京でやりたいの?」って聞いたら、予想通り「地方でやりたい。」と返ってきて…。とはいえ、まさかこんなに遠くに来るとは思いませんでしたが(笑)。
(勇一さん)–地方でやりたいと打ち明けることができ、その流れで「萩が気にいってて、萩に1回遊びに行かないか?」と誘いました。
■誘われて萩に訪れていかがでしたか?
(清香さん)–お付き合いするまでも、結婚するまでも、色々と話してきて、どんな価値観を持った人なのかを知っていたので、なるほど気に入るわけだと思いました。あと、私もカフェを中心に飲食店ばかりで勤めていたので飲食業以外で働くことを考えられず、後に移住してお店を出すまで働かせてもらうのですが、視察で萩に訪れたとき、「ここで働いてみたい!」と思えるお店に出会えたのはラッキーでした。
■「なるほど気に入るわけだ!」というところをもう少し掘り下げて聞きたいです。
(清香さん)–良い食材が揃っている土地であることがまず一つ。それと地方で店を出したい理由の一つとして、そのお店の料理を食べるために、地方に行くんだというお客さんを増やしたいと勇一さんが考えていたことを知っていましたので、良い魚が揚がる土地であり、市外からも魚を食べに来られる人がいて、尚且つ、勇一さんが学んできて得意とする魚介を使った南イタリアの料理を出すお店がない土地というのも、萩でやりたいと決めた要因ではないかと感じました。
■なるほど。地方創生の話にも通じますし、マーケティングとしてもブルーオーシャン戦略に当てはまりますね。さて、オープンから3カ月。手応えはいかがですか?
(勇一さん)–バタバタで、まだまだ手探りといった感じです。色々なお客さんが来てくださり、最近では常連さんになってくださる方も徐々に増えているかと思います。
■オープンボーナス期を終え安定期に突入って感じでしょうか?
(勇一さん)–いえ、安定期はまだまだでしょうね。とはいえ、お店の名前は少しずつ浸透してきていると感じています。これからが本番だと思っています。
■そういえば、メニューは黒板メニューになっており、固定メニューはありませんよね?
(勇一さん)–はい。旬の食材を使って提供したいのと、お客さんに「今日は何があるかな?」とワクワクしていただきたいという想いから、黒板メニューメインでやっています。
■今後のビジョンをお聞かせください。
(勇一さん)–今がいっぱいいっぱいなので、先々を考えるほど余裕はありませんが、当初から目指している、他の土地からもお客さんがいっぱい訪れるお店に早くなれればと。あと、今年中にはランチを挑戦したいなと。平日に1日2日くらいできればと考えています。
(清香さん)–先ずは、何度も来店してくださるお店にしていくことが目標です。「萩は始めだけだから」って良く聞くので、そうならないようにしたいです。あと2階に作ったイベントスペースを活用していきたいなと思います。
■読者の方に一言どうぞ
(勇一さん)-「肩肘張らずに気軽に飲んで食事を楽しめるイタリアン」「毎日楽しめるイタリアン」をコンセプトにしています。ガチガチのリストランテではなく家庭的な雰囲気のお店ですので、是非気軽にお越しください。
■ありがとうございました。
Vengo
萩市大字江向3区458-7
☎0838-21-5976
営業時間 17:30~23:30(フードL.O. 22:30)
定休日 火曜日