昨年12月21日(木)、萩市中心部より車で15分の萩市川上遠谷にオープンされたカフェ「余白」。阿武川水系の遠谷川が流れる谷地にひっそりと佇む古民家カフェです。この度の北浦うぇぶでは、余白のオーナーである小野竜也さんにお話しを聞いてきました。
■先ずは小野さんの経歴から「余白」を出店するに至った経緯をお聞かせください。
-高校を卒業して、関東の方で8年間ほどサラリーマンをしていました。その後、萩に帰ってきてから昼間は喫茶店で、夜は居酒屋で働き、いつかは独立して自分のお店を持ちたいなと考えていましたが、お金がかかることなので、ゆっくりじっくりと、そのいつかに備えて準備をしていました。店舗を構える場所探しも、5.6年前くらいからはじめ、いろいろと巡っていたところ、お店を構えることになった川上遠谷に訪れました。遠谷川が流れる谷地で、市街地における忙しい感じが全くないながらも寂しい感じもなく、心落ち着く景観に心を打たれました。しかしながら、こんな素晴らしい土地も、今いる住民の方々がいなくなると廃れてしまうのだろうなと思い、何かできないだろうかと2021年の春、この遠谷でゆっくりとした時間を体験してもらおうとイベントを催しました。イベントを開けば、地域の方と顔を合わせることができるのではないか、また地域外の方に足を運んでもらい、遠谷の素晴らしさを感じてもらうことで、地域住民の方が改めてこの土地に誇りをもってもらえるのではないかと考えました。少しずつ衰退が進んでいたところもあってか、開催するまで地域住民の方は「こんなところでイベントを開いても人は来ないんじゃない?」という疑心もあったようです。しかしながら、いざ開催してみると多くの方が来場してくださりました。地域の方も盛り上がり「次はいつやるの?」と聞かれるほどで、その年の秋に2回目のイベントを開催しました。来場者の方、地域住民の方から「また開催してほしい」との嬉しいお声がけもあり、以後、毎年春と秋に開催し今年で4年目となります。
昨年末にお店を構えることとなったきっかけは、それまで働かせてもらっていた喫茶店が閉店することになったのが大きなところです。とても素敵な喫茶店であり、名残惜しいものでしたが、これを機に自分のお店を構えようと踏ん切りが付きました。その喫茶店の社長には「余白」開店に向けて色々とお力添えをくださり感謝に耐えません。
■古民家の改装はご自身でされたのですか?またオープンまでどのくらいの時間を要しましたか?
-基礎となる部分は大工さんにお願いして、内装など自分でできるとことは自分でやりました。昨年の9月に着工したので3カ月くらいかけてリノベーションした感じです。
■店名を「余白」とした所以を教えてください。
-随分前に、画家や書道家などアーティストが集まる会合にご一緒させてもらうことがありました。その会話の中で、そこに集まる方の全ての方が、作品を作られる時、考慮するものであり、存在しているというのが「余白」でした。余白というスペースは、そこに何かがあるわけでもないのですが、作品を構成するには無くてはならないもので、余白のバランスひとつで作品そのものの印象が変わってしまう。そのようなお話しを聞いて余白の重要性を知りました。川上遠谷も何かがあるというわけではないですが、訪れてゆっくりとした時間を過ごすのはもちろん、自分なりの過ごし方を楽しまれることで、慌ただしい現代を生きる方々の心落ち着く場所となり、日々の生活や人生がより充実したものになるものだと感じています。この場所が、現代社会の「余白」であり、訪れる方の人生の「余白」として使ってほしいという思いを込めて店名にさせていただきました。
■オープンされて4カ月が経ちます。感触はいかがでしょうか?
– 1月に山口県のグルメスポットや観光地、イベント情報などを紹介されるインスタグラマーの方がご来店くださり、その方のインスタグラムで「余白」を紹介されてから多くのお客様が訪れてくれるようになりました。ご来店される方に、どこからお越しになられたのかを聞くと、山口市、防府市から来られる方が多く、統計では8割方が市外からのお客さまといった塩梅です。また、先月の桜が咲いている時期に、川上総合事務所の前の桜並木がライトアップされていたので、思い付きで20時までお店を開けていました。告知は前日にインスタグラムで投稿しただけなので、お客さんが来られても僅かだろうなと思っていたのですが、思いの他、足を運んでくださる方が多く驚きました。やってみないとわからないものだなというのをこの4カ月で感じさせてもらっています。
■今後の展望をお聞かせください。
-現在、川上遠谷には萩焼の窯元が2つあります。1件は予約制ですが古民家でお食事も提供されていて、もう1件は移住して来られたご夫婦で営まれています。また、空き家をリノベーションして1棟貸しの宿泊施設にすることを計画される方も居られたり、少しずつですが、変化が生まれてきています。この遠谷の魅力を感じて、この地で何かを始められる方が増えてくれると嬉しいです。あと「余白」のロゴにあるように、自然に囲まれた中でスツールに座ってコーヒーを飲む。そのような風景が川上のところどころに見られるようになってくれればと願っており、希望者にはスツールの貸出も予定しています。
何もないけど、どことなく懐かしさを感じさせてくれる川上遠谷でゆっくりとした時間を楽しんでいただける人が増え、この山里の原風景を次代へ紡いでいけたらと思います。
■ありがとうございます。
余白

萩市川上5455-1
営業時間 11時~19時(現在17時まで)
定休日 月曜日(不定休日あり)
