昨年12月24日に営業を終了した長門市油谷新別名の山口銀行油谷支店に併設されるスペインバル「Dining Bar Zen」が、今年3月22日(金)、Art&Restaurant zen(アート アンド レストラン ゼン)にリニューアルオープンしました。
この度の北浦うぇぶでは、Art&Restaurant zenのオーナーシェフでありパティシエの橋本幸治さんにお話しを聞いてきました。
■リニューアルオープンと聞きましたが、スペインバルの時とはオーナーが変わり橋本さんになっています。また、アート&レストラン ゼンではフランス料理をベースにした料理を提供されています。アート&レストラン ゼンをオープンすることとなったきっかけや経緯をお聞かせください。
-リニューアルオープンとさせていただいているのは前オーナーの(株)百姓庵から事業承継という形でお店を引継いだからです。元々こちらのテナントは山口ファイナンシャルグループにより山口銀行支店の複合店舗1号店としてスタートされた事業で、2019年7月、ダイニングバー ゼンがオープンし4年半ほど営業されていました。私はというと、高校卒業後、辻学園調理・製菓専門学校に進学し、製菓を専攻し、そのまま関西圏の飲食店にパティシエとして6年ほど修行しました。その後、上京し、ミシュラン星付き・掲載店を含むいくつかのレストランでパティシエとして研鑽を積んでいたのですが、家族ができ、子育てのことを考え、地元の萩に戻ってきました。Uターンした当初は、全然違う業種に就職していたのですが、3年ほど前、やはり飲食でやりたい、自らの店を持ちたいと思うようになり、丁度その頃、萩市浜崎に舸子176がオープンされ、スタッフの探していると聞き、再び飲食の世界に戻ってきます。舸子176では、パティシエの仕事に限らず色々と携わり、その中で、デザートを食べるためのコース料理を企画し、イベントメニューとして提供するなどさせていただきました。(株)百姓庵の井上さんと出会ったのもその時で、百姓庵さんが手がけている事業のことをお聞きし、塩づくりや農園、そしてスペインバル ゼンの見学に行かせてもらいました。スペインバル ゼンに訪れた時、井上さんから、この店をやってくれるシェフを探していると言われ、見つからなければ店を畳もうと考えているという旨の話を聞きました。舸子176に勤めたのも自分のお店をやりたいというところからでしたので、僕で良ければと伝えると、快く受けてもらえ、雇われシェフではなく、事業継承という形で話が進んでいったという感じです。
■スパニッシュからフレンチをベースにした料理に変更されたのは、橋本さんご自身がフレンチレストランで研鑽を積まれたからになりますか?また、店名がレストラン ゼンではなくアート&とされている所以をお教えください。
-そうですね。フレンチレストランでというところは大いに関係しています。それはフレンチを学んだというより、パティシエとして研鑽を積んだのがケーキ屋さんやお菓子屋さんではなく、レストランであったため、腕をあげてきたものは、単品を楽しむデザートでなく、料理の後に楽しむデザートが主であったからです。舸子176で企画したデザートを食べるためのコース料理と同じように、食後のデザートありきで料理を提供するとなるとフレンチやイタリアンの流れにならざるを得ないといったところです。アートも一緒に組み合わせたところは、こちらもやはりフレンチレストランに勤めていたのが関係しています。フレンチに限らないと思いますが、料理をただ皿に盛るということはなく、目でも料理を楽しんでいただけるよう、皿の上に美術性を求められるとことです。それゆえ、食と美術は切り離せないところにあり、料理人もそうですし、美食を好まれる方もまた美術に関心のある方が多いと思います。また、飲食業をやる上で、お客さまの店への印象を左右する大きな要素の一つとして提供するまでの待ち時間があります。いくら美味しい料理を提供したとしても、お客さまが想定する待ち時間を越えてしまうと店の評価は下がってしまうものです。そこで、待つ時間も楽しめる空間づくりをと考え、お店自体をギャラリーにすれば、料理が出てくるまでの時間もお客様に楽しんでいただけるのではと構想しました。
■お店自体をギャラリーとは、具体的にはどういったことでしょうか?
-はい。店舗内に特別にギャラリースペースを設けるのではなく、アートとの調和を考慮した内装にして、店内のホール全体をギャラリーとし、作家の作品を展示させてもらっています。芸術性の高い絵画や写真を空間づくりのために飾っているだけという話ではなく、期間を設けて、特定の作家の作品を展示し、お越しになられたお客さまが、作品を気に入り、手に入れたいとなれば、作家を紹介し、直接売買のやり取りをしてもらうシステムにしています。そのため、展示料も仲介料もいただいておりません。作品や作家を知ってもらう機会、お客さまと作品との出会いを創出しつつ、美食と芸術、両方の魅力が融合した空間を提供することで、待ち時間も楽しむことのできる満足度の高いお店となれればと考えてのことです。
■作品を展示したいという要望があれば、応じられるのでしょうか?
-お話があればお聞きいたします。お店のコンセプトの一つに地産地消を掲げておりまして、それは料理だけでなく、アートの方もと考えています。オープン以降、現在は、萩市出身、東京藝術大学卒業後、同大学院で美術研究科絵画専攻・脂画を修了され、イタリア・フィレンチェにも留学経験のあるアーティスト沼田愛実氏の作品を3点展示させてもらっています。できれば季節ごとに違う作家の作品を展示したい、できるだけ地元で活動されているアーティスト、地元出身のアーティストの作品を紹介したいなと考えています。もちろん作品と店内の調和という要素もありますので、お店の雰囲気を確かめていただく必要もあるかと思います。

■それでは料理や営業形態についてお聞かせください。
-はい。地産地消をコンセプトに、11時30分~14時まではランチタイム、14時~16時までをカフェタイムとして営業させていただいております。またディナーは金・土・日のみ完全予約制にて承っております。ランチタイムでは、旬やさいの自家製ポタージュ、萩産ケールと季節野菜の花サラダと3種のパスタから1つを選べるランチセットを現在提供させてもらっています。スイーツは季節のフルーツと自家製バニラアイス付のオリジナルフレンチトーストを看板メニューにシフォンケーキ、アフォガード、クリームブリュレ、本日のオリジナルケーキを用意しております。また完全予約制のディナーは、ハーフコース(5皿)とフルコース(10~11皿)で対応させていただいております。コースの内容は季節ごとに変えていきますし、当日の仕入れ状況によって若干変わってきます。

■オープンして2カ月が経ちます。手応えはいかがでしょうか?
-人丸駅前という立地ではありますが、へき地といえばへき地になりますので、お客さまが殺到することは考えていませんでした。もちろん殺到することはないのですが、思った以上にお客さんが来られるなという印象です。思いがけないところでは、アルコールはほぼ出ないと予想していたのですが、ハンドルキーパーを設けられたり、代行を使われたりして、アルコールを飲まれる方も少なくありません。油谷には元乃隅神社や千畳敷などの観光地があり人丸駅はその最寄り駅としてありますので観光客の方が多いのかなとも思っていましたが、今のところ地元の方がご利用される方が多いです。とはいえ、まだ2カ月なので何とも言えないところもありますし、周知も含め、徐々に広げていければなと思います。困っていると言いますか、何気に大変なところは、仕入れになります。長門市までは配達してくれる業者はあっても、油谷まで配達してくれる業者が少なく、地元のスーパーの開店時間に買い出しに行った後、ゼンの開店準備となりますので、朝がとてもタイトです。また地元スーパーに置いてないもので仕入れなければならないものは、萩の実家に届けてもらい、それを油谷まで運んでこなければならないので、納品日と調理するタイミングにタイムラグが生じることも逆算しなければならない難しさもあります。
■今後の展望をお聞かせください。
-近々の話でいえば、季節限定のかき氷を始めます。先ずは、いちごとブルーベリーカシスを用意いたします。パティシエが考案するかき氷というところで、違いを出し、注目される商品になればと思います。また長期での展望としては、このアート&レストラン ゼンだけに留まらず、色々な飲食店に携われればと考えています。
■最後に読者の方にPRすることがありましたらどうぞ。
-ウェディング会場の厨房での経験もあり、ご要望に応じたウェディングケーキも作成できます。スタンディングであれば50名くらいは入店できますので、結婚式の2次会でもご利用いただけます。もちろん結婚式以外でもご予算に応じて貸し切りでご利用も可能です。角島や元乃隅神社の道中にランチやカフェにご利用いただき、食と芸術が織りなす空間をお楽しみいただきたいです。
Art&Restaurant zen(アート&レストラン ゼン)
長門市油谷新別名960-4
☎050-8883-2694
営業時間 ランチ11時30分~14時/カフェ14時~16時(L.O.15時30分)/ディナー18時~22時(金・土・日で完全予約制)
定休日 水曜日・木曜日
https://artandrestaurant-zen.jp/
