老舗船具店からレトロモダンなカフェに!中村船具店むらやカフェオープン!

萩市浜崎にある明治25年創業の老舗船具店「中村船具店」が、今年5月25日、江戸時代建造された建物をベースにレトロモダンなカフェに姿を変え、「むらやカフェ」としてオープンしました。
この度の北浦うぇぶでは「むらやカフェ」オーナー夫妻の宮田保文さん・理恵さんにお話しを聞いてきました。

■先ずは、カフェを始める前は何をされていて、開業に至る経緯をお聞かせください。

保文さん-私はこの3月までサラリーマンでした。具体的には井筒屋の外商をしており、家内は、私の仕事を手伝ってくれてました。定年を迎える数年前から、この場所を使って何か商売をしたいと家内が考えていたのがきっかけです。

理恵さん-何年も前からですが、船具店という生業が、この時代やっていけないというこがわかっていました。平成28年、この老舗船具店を守っていた父が他界し、この伝統ある建物を引継ぐこととなり、この建物を使い、船具店ではない何かで、浜崎を盛り上げる一端となれればと考えるようになりました。古くは、萩のメインストリートであった浜崎地区には、江戸時代、明治時代、大正時代、昭和初期に建造された建物が130棟ほど、今も残っており、伝統的建造物群保存地区に指定されいます。指定されたころはメディアにも扱われ、賑わいをみせましたが、ここ近年は、高齢化も進み、更に錆びれていくばかりで、この状況を何とかしたいという思いが膨らんでいきました。とはいえ、1軒だけ何かやっても、昔のような賑わいは取り戻せないだろうなとも感じていましたので、実際に動くところまでは至らず、何かきっかけがあればと思い留まっていました。きっかけとなったのは、鎌倉でレストランやウェディング事業などを手掛ける新井さんが、この浜崎地区を気に入ってくれ、使われていない建物をリノベーションし、コミュニティースペースや一棟貸しの宿泊施設など次々に開業されたことと、山口銀行浜崎支店跡に萩ビズができたことです。それによって若い人が、この浜崎でイベントを催すようになり、今までと違う交流が生まれてきました。そうして、主人の退職に合わせ開業することを決めました。

■カフェにしようとお考えになられたのは?

保文さん-サラリーマン時代、外商で色々な土地に出向くのですが、観光もしていました。観光で訪れた土地の地元住民の方と話をすることが楽しく、この浜崎に訪れた観光客と地元の方が気軽に交流できる場所を作りたいという思いがありました。また、開業する前から、船具店にある船具などを覗きに来られるマニアックな観光客の方を案内してあげたり、外国の方が来られた際には、会話はできないのですが、コミュニケーションを取るその時間がとても楽しく、船具店の一角を残し、船具を展示しながらできることを考えていました。

理恵さん-開業することを決め、近所にある萩ビスへ相談に行くと、全くの素人だった私たちに一から色々なことを教えてくれるだけでなく、岡崎市のビジネスサポートセンターオカビズの方を紹介され、いくつかのビジネスモデルを提案してくれました。また、新井さんが開業された一棟貸しの宿泊施設hotel 168が目と鼻の先にありますので、宿泊に訪れた方にもご利用していただけることも想定し、伝統的建造物を活かしつつ、昔の船具など珍しいものを展示するスペースも併設するカフェを開業しようと決めました。

■提供するサービスについてお聞かせください。

保文さん-井筒屋山口店・小倉店の中にあるコーヒーショップ・キョウワズコーヒーからブレンドの豆を仕入れてます。前職での繋がりもあり、キョウワズコーヒー福岡支店のマイスターの方に何回も萩に来てもらい指導を受け、特訓した淹れ方で提供しています。

理恵さん-軽食のトーストはポンパドールから、パニーニはパナデリア・キキさんから仕入れて提供しています。どちらも美味しいパンですので、是非口にしていただきたいなと思います。また、ランチで出している、むつみ豚のカレーをお目当てに来られる方も多いです。サラダに使っている野菜は、地元の若い農家の方が作られているものを使っています。こちらもとても美味しく好評です。

■北浦では珍しく営業時間が朝8時からとなっています。狙いはありますか?

保文さん-地元に住む者として、朝早くに行けるお店がほとんどないことに困るときもありましたし、それは観光客の方も困ることがあるだろうなと思ってのことです。また、hotel 168に宿泊される方が朝食にご利用していただくことも考え、8時からにしています。

■オープンして間もないですが、今後の展望をお聞かせください。

理恵さん-開業への経緯と一緒になりますが、この浜崎地区に再び活気を取り戻す、その一助となれればと思います。最近では、蕎麦屋のさるのこしかけが出来ましたし、来年には新井さんが藤井家旧宅をリノベーションしレストランを開業されるなど、徐々にですが活気が生まれてきているのを感じています。その中で、むらやカフェが、観光客、地元住民の憩いの場となり、交流が増え、更に開業する人が出てくれれば嬉しいですね。

保文さん-素晴らしい町並みが残る浜崎地区に住みたい、この通りでお店を出したい考えているけど借りることができないという声も聞きます。持ち主が萩におらず交渉できなかったり、空いているけど貸す気はないということもあります。この空き家問題を解決しなければ、注目を浴びはじめ、活気付く気配を消失してしまうのではないかと案じています。むらやカフェが起爆剤となり、その問題の解決する一つのきっかけになれればと思っています。

■ありがとうございました。

中村船具店 むらやカフェ

萩市大字浜崎町2区205
☎  0838-22-0399
営業時間 8時~16時
定休日 木曜日