連載 むつみ豚と雨女vol.64

動画作成に必要なものとは、技術・センスではない。膨大な素材画像と、優秀な編集ソフトと、なにより根気。地味な作業をひたすら繰り返す根気であると考える。出来上がった動画を一旦寝かせてまたチェックすると、あれこれ気になる部分が出てきてまた修正するという作業を繰り返すこと約一か月、この度ひとつの動画が完成した。

達成感を覚えつつも、本当にこれでよかったんだろうか、想いが伝えられただろうかと不安も入りまじる。今できることをやったつもりではあるが、数年後に見ると、ギャーっと言いたくなるかもしれないがそれもご愛敬。44歳のオバサンにしてはよく頑張った。

一番苦労したところは何と言っても『作業時間の確保』である。動画編集をしていた6月は豚の分娩が大変多く、毎日のように生まれていた。日によっては同じ日に3分娩ある日も。しかも難産が多く夜中に農場に駆けつけることも数回。分娩中に母豚が脱水しないよう陣痛の合間にスポーツドリンクを飲ませ豚とワタクシが一緒に分娩に臨むのだ。

養豚の仕事をしていて日々思うのは、豚は商品であるということ。決してペットではなく、会社の大事な資産である。難産で仔豚の命か、母豚の命か、となると迷わず母豚の命を優先する。なんて不謹慎な、と思われるかもしれないが、一頭の母豚のむこうには、これから生まれてくる100頭の仔豚がいるわけで、母豚を失うということは100頭の仔豚を失うということ。むつみの農家の方々が大根やトマトを美味しく安心して食べられるように育てるのと一緒で、美味しく安心して食べてもらえるように、萩むつみ豚を商品として一生懸命に育てている。

さて、話は動画作成に戻るが、出演者はほとんどが中高年男性である。作業前は、う~むどうなることかと思いもしたが、作業をしていくうちに、「お、〇〇さん、いい笑顔やな~」動画の仕上がりは思いのほか華やかに。