松陰先生の教えを伝播するため、全国に1000教室を目指す「松陰塾」 創始者・田中正徳会長インタビュー

吉田松陰先生を「自立学習の祖」と位置づけ、松下村塾の教育方法を取り入れ、全国・海外に約300校を有する小中学生対象の完全個別指導塾ブランド「松陰塾」をFC展開している株式会社ショウイン(本社:福岡県福岡市)が令和4年4月、吉田松陰生誕の地“萩”に、吉田松陰先生の遺徳をたたえる総合施設「交友館」を開設されました。同館には、多目的研修施設、談話室、松陰塾萩校に加え、松陰神社の協力のもと、精緻な実測図をもとに完全再現された松下村塾(講義室)の模築がある一般開放エリアが併設されています。
この度の北浦うぇぶでは、松陰塾が取り入れる「ショウイン式」学習システムの創始者であり、株式会社ショウイン田中正徳会長に、松陰塾開設の経緯や教育理念などを聞いてきました。

■まず、とても気になるところで、田中会長は生まれも育ちも福岡市にも関わらず、吉田松陰先生に惹きつけられるようになったきっかけは何だったのでしょうか?
-最初のきっかけは、中学校の歴史の教科書でした。思想家であり教育者の吉田松陰先生が日本を変えるような人材を育てた偉人であることを知り、その後、大学生のとき旅行で萩の松陰神社を訪れました。多くの維新志士を輩出した松下村塾に上がりたかったのですが当時は上がれず、それでもこの地で日本を変えた偉人が学んでいたという歴史に触れ、感動し、松陰先生や松下村塾に惹きつけられました。

■その時点で、現代版松下村塾を造りたいと思われたのでしょうか?
-大学時に萩に訪れたあと、松陰先生のことをより深く知りたいと思うようにはなりましたが、塾をやりたいという思いがあったわけではありません。1980年、大学を卒業した後、大手住宅メーカーに就職したものの馴染めず3ヶ月で退職し、同年7月、兄が始めたばかりの学習塾に入ります。当時は、個別指導の塾はほとんどなく、学校と同じ集合学習形式の塾が主流でしたので、1クラス3名の個別指導、生徒の能力に応じたカリキュラム、オリジナル教材を売りに営業していくと生徒数は増え、教室も増やすことができました。しかしながら、生徒の学力が満足いくほど上がっているのかといえば、決してそうではありませんでした。学力が上がる子もいれば上がらない子もいて、どうにかならないかと必死に汗を流し教えても効果は表れませんでした。そのうち、成績が伸びない子はアウトプットの訓練ができてないことに気付きます。講師が教えるということは、生徒にとってインプットすることであり、インプットしたものを定着させることにはアウトプットが必要です。そこでアウトプットに時間を割けるよう方向転換します。また、ちょうどバブル経済が崩壊したころで、社会情勢も急激に変化し、更には子どもの人口も減り、学習塾市場は急激に縮小していきました。更には、個別指導ですので、多くの生徒を抱えると、それだけ講師が必要となり、比例して人件費と教室の賃料もかかりますので、ビジネスモデルとして限界を感じていました。人件費、賃料の固定費を抑えながら個別指導の塾を運営することは出来ないだろうかと考えたとき、行き当たったのがコンピューター学習でした。コンピューターを使うことによって、それまで作ってきた教材をデータ化し、パソコンで勉強できるようになり、講師を雇わず人件費を抑えることができました。そうして、インターネットどころか、パソコンにHDDが無い時代から、今でいう学習アプリケーションを開発し、個別指導ができ、マイペースででき、省スペースでできる塾を謳い文句に新たなビジネスモデルを展開していきます。しかし、中にはコンピューター教材を上手く使いこなせず、生徒の成績を伸ばしきれないオーナー塾長もおり、その背景を探ってみると、「わからない」生徒に、自らが教えていたのです。いくら良い教材、システムがあっても「自らが学ぶ」意思がなければ伸びないことは、それまでの経験で明白でしたので、塾長には、教えるのではなく導くスキル「コーチングスキル」を身に付けてもらうことに注力してもらい、人から習うのではなく、自ら学ぶ塾に転換していきました。自らの意思で学ぶには、やはり志が必要で、結果的に、それは若い時に惹きつけられた松陰先生が唱えることと同じであることに行きつき、志を育み、教わるのではなく学びたいものが通う塾とは「松下村塾」と同じではないかと、塾名を松陰塾とし、また、自立学習が身に就き、どんな子も必ず成績があがる松陰塾オリジナルのシステムを「ショウイン式」としました。

■松陰塾、ショウイン式の特徴をお教えください。
-わかるところから始め、わかるまで先に進まず、わかるまでくり返すという、伸びる子を育てるための「わかるの3大法則」に着眼し、その法則に沿って最適なプログラムに仕上げた学習法が「ショウイン式」です。その「ショウイン式」学習法を徹底するために、松陰塾が20年以上の歳月をかけ自社開発した教材が自立学習教材「Showinシステム」となります。自立学習教材「Showinシステム」には「がくしゅうモード」「じゃくてんバスターモード」「テストモード」の3つがあり、先ず「がくしゅうモード」でヒントや解説、資料映像などチェックし、ノート学習を組み合わせながら学習を進めていきます。「がくしゅうモード」で間違った問題に再チャレンジできるのが「じゃくてんバスターモード」で、間違った問題をわかるまで解き続けることで弱点克服に繋がります。そして次の単元へ進んでよいかどうかを判断するための進級テストが「テストモード」で、これは「がくしゅうモード」で80点以上取らなければ挑戦できなくなっており、更には「テストモード」で80点未満であれば、もう一度「がくしゅうモード」に戻ってやり直しとなります。こうしたサイクル学習を通して「わかるまで繰り返す」ことで、学力定着・向上を図ります。また、「Showinシステム」はゲームフィーケーションされたもので、学習や目標達成へのモチベーションが高まるようになっています。このようにお話しすると、他の通信教材や学習アプリと同じではないかと思われる人も多いのですが、それらと大きく違う松陰塾の特徴が、先にもお話しした「教育コーチング」です。松陰塾では(一社)日本青少年育成協会教育コーチ養成講座を受講し、「ショウイン式」上級コーチ研修を履修した社会人が個別指導を務め、答えを教えるのではなく、自らの力で解決していけるように導いていき、自立学習の確立へと繋げていきます。また、英検対策に実績のある旺文社と提携しており、英検過去問も「Showinシステム」に組み込まれているので、英検合格率が高いのも大きな特徴と言えるでしょう。

■今でいう学習アプリの開発にいち早く取り組み、オーナー塾長の育成カリキュラムを確立し、現在では、北海道から沖縄までと全国に300校を展開する人気塾となったわけですが、人口も少なく少子化も著しい萩に施設を作り、萩校を開校したのは何故でしょうか?
-学ぶことは行きつくところ「学は人たる所以を学ぶなり」であり、言い換えるなら人間力を培うことで、その教えを「松陰塾」を通して、現代社会に伝播していきたいと考えています。目指すは1000校で、1000校あれば、全国だいたいの地域はカバーできると思います。そしてそのためには仲間が必要で、その仲間とは松陰塾のオーナー塾長になってくれる方です。また、松陰先生の教えである「松下陋村と雖も、誓って神国の幹とならん」にあるように、ひなびた場所であっても、日本の骨幹となれるわけで、時代を変えるほどの人材を輩出するのには場所は問わないということを仲間に知ってもらいたいという気持ちが長年ありました。ですので、いつかは萩に研修施設を設けたいと考えていましたし、松陰先生の遺徳をたたえるべく萩のためになることをしたいと思っていましたので、毎年松陰神社に参拝する度に、土地を探していました。併設する萩校も採算度外視で開校しました。萩校は研修にこられる方へのモデル校としての役割もあり、生徒には協力してもらっている側面もあります。その感謝の気持ちではないですが、開校以来、入塾金無料で月謝も半額としています。もちろん、他の松陰塾と同様、週何回通っても月謝は一緒になります。

■AI時代が訪れようとしています。教育現場も変化を求められるだけでなく、学問へのアプローチも変わるのではないかと言われていますが、どのような未来を想定していますか?
-今までは、知識をいっぱいインプットし、アウトプットしていくことで社会に役立て、自らの人生を含め社会を豊かにすることができました。AI時代となると、人間個人ではインプットできない膨大なデータの中から適した知識をAIがアウトプットしてくれるので、人に求められるところは、選択する力や、知識を組み合わせる力になるでしょう。その力は経験というものでしか培うことができず、経験を重ねることができる「自立型」というものがより重要なものになります。また、断言はできませんが、もしかしたら塾に通わない時代になるかもしれません。既に、松陰塾に通えない地域の子向けに、ネット松陰塾をも展開していますので、もし、そうなるのであれば、個別指導+「Showinシステム」で実績を重ねてきた松陰塾に一日の長があるかと思います。
IT革命以後、変化を求められていたのに変われなかった公教育では、AI時代にも対応できないでしょう。それは、公教育が悪いというわけではなく、集団型学習にマッチしていないというだけで、だからこそ、個別学習のノウハウが蓄積され、人間力を育むことを目的とした「松陰塾」のような民間塾が、次代の教育をリードしていかなければなりません。その担い手として責任を感じており、明治維新がそうであったように、この萩を、この松陰塾交友館を、新しい時代を築く人材が羽ばたく出発点にしてもらいたいです。

■ありがとうございました。