連載 むつみ豚と雨女vol.54

9月某日の秋晴れの日、小野家18回目の運動会。俄然はりきりモードのワタクシ。さあ!走るぜ~!ではない。走ったらケガするから走らんが、むつみ小学校PTA広報写真係としてむつみっ子達の雄姿をカメラに収めるのだ。『写真係』の腕章は年季が入りすぎてどうやっても二の腕からずり落ちていくので太ももにはめ、あっちへうろうろ、こっちへうろうろ。腕章が無かったらさぞおかしなおばさんだろうな。

運動会が始まる前のワクワクした顔の子や、ちょっとやだな~なんて顔した子もいる。競技中の写真はもちろんだが、そんな子供達の何気ない姿を撮りたいと思い、受付開始前から会場をうろついていると市役所関係の方からなんとなんと『上手に撮れたら市報の表紙写真にしてあげる』なんて悪魔のささやきが。まさに鼻先にニンジンをぶら下げられた馬状態。

この日のカメラは本体キャノンEOS R6&レンズRF24-105F4(借り物)で使うのは2回目。しかしカメラは良くても手ブレの女王・ピンボケの女王の称号をもつヘボカメラマンのワタクシに市報の表紙写真などという萩市民の皆様が目にするような写真が撮れるのだろうか…。嬉しさ余って不安100倍。

とはいえ、表紙写真のありがたいお申し出が幻になってはいかんのでワタクシは会場で会う人会う人に『市報の表紙になるかもしれん』と言いまくり、そうこうしてるうちに、淡い期待は、閉会式後の集合写真を撮るころには『表紙になる』に進化を遂げていた。

PTA広報誌の写真を撮るという目的はいつの間にやら市報の表紙写真を撮るにすり替わってしまっていたわけだが、カメラマンというのは競技の邪魔になったり観客の視界を遮ったりしてはいけない。ましてやド派手蛍光オレンジのTシャツで子供達より目立つなど言語道断である。来年は悪目立ちせぬよう黒ずくめで行こう。