日本酒は酒米作りかた日本酒を醸し、出荷販売、そして消費者が口にするまで、1年を通じた営みからできており、その過程では酒米作りをする農家、お酒造りをする蔵人、お酒を消費者に届ける酒屋など沢山の人の思いと手仕事が加わっています。そして、阿武町、萩市には、県内地区別では最多となる6蔵が現存し、多くの人が携わる地域産業のひとつとして担われます。そんな阿武・萩の日本酒が育まれる景色を後世にも紡いでいきたいと企画されたのが「Thanks Buddy」。今回の北浦うぇぶでは、「Thanks Buddy」の企画運営を担う株式会社ヨシダキカクの大串 茉里望さんにお話しを聞いてきました。
■大串さんは、ヨシダキカクに就職するのを機に移住されてきたと聞きました。先ずは、大串さんの経歴、ヨシダキカクに就職した経緯をお聞かせください。
-出身は島根県益田市になります。小学5年から中学卒業の5年間は萩市田万川地区に住む曾お祖母ちゃんの家で育ちました。高校は再び島根に戻り、大学も島根県立大学の総合政策学部に進学し、政治や経済や経営とかを広く学びます。専攻したゼミでは経営マーケティングを学び、1年かけて銀行と老舗蒲屋さんと大学でお土産を開発するなどの取り組みもしていました。また、在学中2年間休学し、京都でバイトをしたり、オーストラリアに1年ほど留学もしたりと、大学以外でも積極的に学んでいました。大学卒業後は名古屋の人材派遣業に就職したのですが、人間関係が希薄になってしまう都会暮らしに性格が合わなかったというのと、人材派遣の仕事が自分の想像していたものと違っていて、自分が学んできたことを活かせられないなと感じ、この生活を続けていけないなと半年で退職を決めました。ちょうどその頃、両親が民泊を始めたということもあり、転職するなら親の仕事に還元できるものがいいなと考え、探していたところ、大学時代にお世話になった先生からヨシダキカクの吉田さんを紹介してくださりました。ヨシダキカクのことは移住スカウトサービスSMOUT(スマウト) に記事が載っており、民泊施設の管理業務やSNSでの情報発信業務などがあることを知り、是非ヨシダキカクで働きたいと即応募し、一昨年の10月に入社させていただきました。
■それでは「Thanks Buddy」についてお聞かせください。どのようなことを目的として、どのような内容なのでしょうか?
-人口5万人を切る地方都市であるにも関わらず、阿武・萩には6つの酒蔵が残っています。山口県の日本酒処と言われる岩国地区でさえ5蔵、全国屈指の日本酒処の東広島市であっても7蔵と、人口比率から考えると、阿武・萩地区は日本トップレベルで日本酒文化が育まれている場所だと言えると思います。その誇れる地域文化を次世代にも紡いでいくことを目的に「Thanks Buddy」は企画されました。発足のきっかけとなったのは、(公財)やまぐち産業振興財団にいる村上さんという女性の方がおられまして、食品企業の販路開拓支援をされている方なのですが、その方の支援のもと、阿武・萩の6蔵で素晴らしい日本酒をもっと沢山の方に知ってもらう活動ができないかとスタートしたことでした。そこで、阿武・萩の6蔵が加盟する萩酒米協同組合が事業を興すことになり、企画運営を行う会社として同じ萩のヨシダキカクにお声がけいただけたという流れになります。
「Thanks Buddy」の内容を一言で表すなら「阿武・萩で造られる日本酒の応援者(メンバー)になってくれる方を全国で募る」となります。メンバーになると阿武・萩6蔵の新酒6本セットが届き、特典としてオンライン日本酒の会や酒米の田植え・稲刈りなどの各種イベントに参加いただけます。またメンバー限定情報も受け取ることができます。そして、この企画で大切にしていることは大きく3つあり、一つ目は多くの人に選ばれる日本酒を造り続けること。この地だからこそ表現できる味、保てる品質、共感できる想いを20年先、30年先にも継続できるようにしたいと考えています。二つ目は日本酒だけでなく日本酒を取り巻く文化と共に豊かになっていくことです。400年以上の歴史がある萩焼に始まり、山や海などの自然から得られる「幸」は萩の豊かな食文化を支えてくれています。日本酒を造り続けることは、酒器や食文化、はたまた日本酒造りに必要な自然の恵みなど、取り巻く環境にも影響を与えるものだと考えています。三つ目は阿武・萩の日本酒をそそぎあう風景をつくることです。そそぎ、そそがれるという場面は心躍る時間を共有しているはずで、阿武・萩で造られる日本酒を酌み交わし、楽しい時間を過ごしていただきたいと願っています。これら3つのことを大切にすることで、この地で生産される日本酒が人と自然と文化という循環の中に組み込まれ続け、阿武・萩の日本酒が育まれる風景を守ることに繋がるものだと信じています。この風景を守り続けるために、Thanks Buddyのメンバー(バディ)となって、みんなで紡いだお酒をそそぎあっていただきたいです。
■この企画を練っていくにあたって大串さんが感じたことは何でしょうか?
-発端は阿武・萩で造られる素晴らしい日本酒を多くの人に知ってもらいたいというところからになりますが、この企画を起こすにあたって、先ずは日本酒のこと、6蔵のこと、そして取り巻く環境を知る必要がありました。知れば知るほど、この小さなまちで酒蔵が6つもあること自体、ほんと凄いことだと感じまし、GI(法律で定められている地理的表示に関する表示基準)に指定されるのも納得でした。しかしながら、酒米の田植えや稲刈りに参加し、生産者さんにお会いすると、ほとんどの方が後期高齢者の方、更にはコロナの影響で減反するところもあったようで、今は生産できている酒米が、20年後、30年後、地元で生産できなくなってしまうのではないだろうかと考えさせられました。地域外で生産された酒米を使ってお酒を造ることもあるのでしょうが、やはりこの地の土と水で育った酒米で造られる日本酒というところに価値があるものだと思いますので、この状況をも多くの人に知ってもらいたいなと感じました。メンバーになってくれた方が田植えや稲刈りに参加くださって、移住して就農したい、酒米を作りたいって思われる方が一人でも居られればなと考え、「Thanks Buddy」では日本酒を手に入れ飲むだけでなく、日本酒を造るところから関わってもらい、酒蔵さんはもちろん酒米の生産者さんや酒屋さんのことも近く感じてもらえたらなと思います。
■最後に読者の方にPRをどうぞ!
-広く阿武・萩のお酒を知ってもらいたいというのが大目標ではありますが、既に6蔵のお酒の味を知っている地元の方にも是非メンバーに入っていただきたいです。6銘柄のお酒を手に入れる以上の加入料がかかりますが、その価格に見合うだけの価値があるものです。地元が誇る日本酒を、先ずは地元の方で育んでいただきたいです。
■ありがとうございました。
Thanks Buddyについて、メンバー登録はサイトから
https://thanksbuddy2023.com/
